JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

CAD機械製図(3)

       CAD機械製図

       JIS B 3402

 

 この規格は、2021年  3月  22日 廃止となりました。

  JIS  B  0001  機械製図と内容が同じものなので廃止は当然かと思われますが、参考

  のため掲載します。

 

 この頁は前頁からの続きとなります。

 

11. 図形の表し方

11.1 投影図 投影図を描く一般的原則は、次による。

11.1.1 正投影図

) 動く製品の主投影図は、特に指定のない限り、進行方向が左側になるように描く

   のがよい。

) 部品は、なるべく工作時に置かれる方向になるように主投影図を選ぶ。

) 投影図は、最少の投影図になるように主投影図を選んで描く。

) 投影図形は、なるべくかくれ線を用いないように描く。

    なお、板厚が一定の大物板金部品などのかくれ線は、形状が読み取れる範囲で

   途中で省略することができる(図17)。

11.1.2 補助投影図 正投影法だけでは投影図が複雑になる場合には、補助投影法を

併用して図形を表すことができる(図18)。

11.1.3 部分投影図 正投影図に補助投影図の一部の必要な部分だけを部分投影図と

して追加して、図形を表すことができる(図19)。

11.1.4 局部投影図 対象物の穴形状、溝形状などを示せばよい場合には、局部投影

図として表すことができる(図20)。


11.1.5 回転投影図 投影すると実形が現れない場合に、投影面に平行になるように

その部分を回転させて表すことができる(図21)。

11.1.6 部分拡大図 正投影図の中で、図形が小さいために、その一部を拡大して詳

細な図形を描き、必要に応じて技術的要求事項を記入することができる。

 この場合には、拡大する部分を実線の円で囲んで、それに符号を付け、詳細な図形の

付近にも同じ符号を付ける(図22)。

11.2 断面図 断面図は、JIS  Z  8316  によって、全断面図、片側断面図、部分断面

図、回転図示断面図、組合せによる断面図のいずれかによって表す。

 なお、断面図で表すと図の理解を妨げるもの(リブ、車輪のアーム、歯車の歯な

ど。)、断面図にしても意味がないもの(ボルト、ナット、ピン、キー、円筒体な

ど。)はその長手方向に切断しない(図23)。

            図23 長手方向に切断しない例

11.3 ハッチング 断面の切り口を示すために、ハッチングを施すことができる。

) ハッチングは、主たる中心線に対して、細い実線を施す(図23参照)。その角度

   は、45°、30°、75°  のの順で選ぶのがよい。ただし、材料を区別するなどの特別

   な場合には、別の線を施すことができる。

) 同じ切断面上に現れる同一部品の切り口には、同一のハッチングを施す。

) 階段上の各段に表れる切り口を区別する必要がある場合には、ハッチングを少し

   ずらすことができる(図24)。

11.4 図形の特殊な表し方 加工方法、その他の理由から図形の特殊な表し方は、次

による。

11.4.1 展開図示 板金加工部品で、板の曲げ加工前の展開形状を図示することがで

きる。この場合、展開図形の付近に"展開図"と表示する(図25)。

11.4.2 中間部分の省略 長い形状の中間部分を省略することができる(図26)。

11.4.3 対称図形の片側省略 対称図形の対称中心線の片側の図形だけを描き、その

対称中心線の両端部に短い2本の平行細線(対称図示記号という。)を付けて示すこと

ができる(図27)。

11.4.4 限定した領域の指示 加工、処理などの領域は、太い一点鎖線で囲んで指示

する(図28)。この場合、領域の大きさは、寸法を指示する。

 なお、輪郭を表す外形線に沿って、外形線から少し離して、太い一点鎖線を引いて指

示した場合には、その図形の投影関係から領域が決まる(図29)。

11.4.5 加工部の表示 溶接施工部、肉盛り部など、加工部の表示は、その部位を塗

りつぶして行うことができる(図30)。

11.4.6 加工前後の図形表示 加工前又は後の形状を図形表示する場合には、それを

細い二点鎖線で示す(図31)。

11.4.7 隣接部品の図形表示 部品図及び組立図の中で隣接部品の図形表示は、細い

二点鎖線で示す(図32)。

 なお、断面図示をしたために取り除いた図形部分の図形の表示は、細い二点鎖線で示

す(図33)。

11.4.8 透明部品の図示 ガラス、フィルムなど、透明部品の図示は、不透明なもの

と仮定してする。

11.4.9 非剛性部品の図示 剛性のない部品は、重力方向で最もたわみの少ないよう

に置いたときの状態で図示する。この場合、重力方向を矢印を用いて図形の付近に示す

JIS  B  0026)。

 

 CAD機械製図には、機械製図の規定と違った、独自のものがあってもよいと思う

のだが、これといって、違いがあるものはあまり見当たらない。

 その中で、ハッチングはCADと手書きの製図との違いができるひとつではないだろ

うか。ハッチングというよりは、断面の表し方である。

 断面の切り口を示す場合、規定ではハッチングになるが、塗りつぶして表示すること

も行われる。

 断面部の外形線を残すことは当然であるが、あまり濃い色を使用すると、白黒コピー

などでわかりにくくなることがあるので、淡い色に限られる。

 線の色については、黒以外ののものを使用する場合は、それらの線の色が示す意味を

注記することが規定されているが、断面を塗りつぶす場合は特に表示する必要はないで

あろう。一目見て断面と理解できるように思う。

 なお、線の色についての規定は、機械製図にはない事項である。