JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図―図形の表し方の原則 線

     製図―図形の表し方の原則 線

          JIS Z 8316

 

 前頁からの続きとなります。

 

3. 線

3.1 線の種類 表1に示す線の種類及び太さが用いられる。ただし、必要に応じて極

太線を用いることができる。

 特別な分野(例えば、電気回路、配管系統図)で、このほかの線種及び線の太さを用

いる場合や、表1に示した線を、表1の右端の欄に示した用途以外に用いる場合には、

それを規定している他の規格を図面に明記する。

 各線種の通用例を図9及び図10に示す。

   参考 ISO  128 では、細線及び太線だけを規定している。

 

             表1

  (¹) この線の種類は、製図機械を用いた図面の作成に適す。
   (²) 細線及び太線の二つのうち、どちらかを用いることができるが、一枚の図面の

     中には、一種類の線を用いるのがよい。

  参考 A3仮想の相貫線は、ISO  128  では、線の種類 B1として細い実践を用いる

       ように規定されている。

 

                   図9

 機械製図では線の種類は、上記のほかに、跳び破線と点線が規定されているが、ど

ちらもあまり使用されるものではない(線と文字の頁の線の項目参照)。

 また、機械製図の引出線には括弧して参照線を含むと記載されている。

 

 

3.2 線の太さ 二種類の線の太さが用いられる。太線と細線の比は2:1以上でなけ

ればならない。ただし、特に必要があって極太線を用いる場合には、太線の2倍の太さ

とする。

   参考 ISO  128  では、細線及び太線を規定している。

 線の太さは、図面の大きさ及び種類によって、次の寸法から選ぶのが良い。

  0.18、0.25、0.35、0.5、0.7、1、1.4、2  mm (¹)

 同じ尺度の対象物のすべての投影図に対しては、線の太さは等しくしなければならな

い。

 (¹) 複写方法によって困難が生ずる場合には、0.18  mmの線太さは除くべきであ

    る。

 

 機械製図では、線の太さには 0.13 mmも規定されており、製図―表示の一般原則―

線の基本原則 JIS  Z  8312  の線の太さと合致している。

 現在の技術で複写方法によって困難が生ずることはないであろう。太線と細線の比、

2:1以上から、細線 0.13 mm太線 0.25 mm としておいて全く問題はない。

  0.13 mm は、丸められた数値であり、丸める前の数値は、数列比より 0.125 mm で

ある。したがって、太線と細線の比は、2:1以上となる。

 細かいことにこだわらなくても、以前の頁、製図―表示の一般原則―線の基本原則

の、線の太さの許容値に、"明瞭に区別できれば、線の太さは規定した値からずれても

よい"とある。気を使う必要はない。

 なお、このブログでの図は、画像を使用している。細線が一部見にくくなっているも

のがあるのはこのためであり、複写の問題ではない。

 

 

3.3 線と線の間のすきま ハッチングを含む平行線間の最小すきまは、最も太い線の

太さの二倍以上とする。また、線と線のすきまは、0.7  mm以上にすることが望まし

い。

 この項目についても以前の頁 断面図(2)の薄肉部の断面図 などを参照願いま

す。

 

 

3.4 重なる線の優先順位 2種類以上の線が重なる場合には、次に示す順位に従っ

て、優先する種類の線で描く(図11参照)。

a) 見える外形線及び稜線(太い実線;線の種類A)

b) 隠れた外形線及び稜線(破線;線の種類E又は線の種類F)

c) 切断位置を表す線(細い一点鎖線、端部及び方向の変わる部分を太くしたもの;

   線の種類H)

d) 中心線及び対称を示す線(細い一点鎖線、線の種類G)

e) 重心を連ねた線(重心線)(細い二点鎖線;線の種類K)

f) 寸法補助線(細い実線;線の種類B)

 組付けた部品の隣接する外形線は、黒く塗りつぶした薄い断面を除いて、一致させて

描く(4.3及び図23参照)。

 4.3 は、薄肉部の断面 である。 図23とともに後の頁に掲載します。

 重なる線の優先順位については、寸法をどのように記入するかによって、どの部分を

断面として図示するか等の検討が行われ、都合の良い線が優先されるように、作図する

ことになる。詳細は、以後の 断面図 の頁 の掲載になります。

 

 

3.5 引出線の端末 引出線は、形体(寸法、物、外形線など)を参照する線である。

 引出線の終端は、次のようにする。

  ― 対象物の外形線の内部から引き出す場合は、その終端に黒丸を付ける(図12

    照)。

  ― 対象物の外形線上から引き出す場合は、終端に矢印を付ける(図13参照)。

  ― 寸法線上から引き出す場合は、終端に点や矢印はつけない(図14参照)。

 端末の黒丸や、矢印の寸法の詳細は、後の頁 製図―寸法及び公差の記入方法―第

一部:一般原則 の附属書A 図示記号の大きさ に掲載します。

 

 寸法線上から引き出す場合、終端にはなにもつけないのであるが、古い規格では、矢

印をつけるようになっていたためか、いまだに矢印をつけていることがあるようであ

る。

 このことも、以前の頁 寸法記入方法(2)寸法線 を参照願いま願います。

 なお、引出線から延びる水平の線(又は垂直の線)が、参照線である。