機械製図
JIS B 0001
8 投影法
8.1 一般事項
投影図は、第三角法による。ただし、紙面の都合などで、投影図を第三角法による正
しい配置に描けない場合、又は、図の一部を第三角法による位置に描くと、かえって図
形が理解しにくくなる場合には、第一角法又は相互の関係を8.5に示す矢示法("やし
ほう"と読む。)を用いてもよい( JIS Z 8316 参照)。
※ 投影法とは物体に光りを当てて影を映し出す手法のことである。
製図の分野では三次元の物体を二次元の平面上に表現する技術で、その他の分野では数
学や物理学はもちろんのこと、心理学でもその言葉は使用されている。
空間を四つに区分けしたものを第一象限~第四象限とし、第一象限での投影を、第一
角法、第三象限での投影を第三角法という。
8.2 投影図の名称
図12に示す対象物の投影図の名称は、次による。
正面図(主投影図)が選ばれる(10.1.1参照)と、関連する他の投影図は、正面図
及びそれらのなす角度が 90° 又は 90° の倍数になる(図12参照)。
8.3 第三角法
第三角法は、正面図(a)を基準とし、他の投影図は次のように配置する(図13参
照)。その場合には、図14に示す投影法の記号を表題欄の中又はその付近に示す。
平面図(b)は、上側に置く。
下面図(e)は、下側に置く。
左側面図(c)は、左側に置く。
右側面図(d)は、右側に置く。
背面図(f)は、都合によって左側又は右側に置くことができる。
8.4 第一角法
第一角法は、正面図(a)を基準とし、他の投影図は次のように配置する(図15参
照)。その場合には、図16に示す投影法の記号を表題欄又はその近くに示す。
平面図(b)は、下側に置く。
下面図(e)は、上側に置く。
左側面図(c)は、右側に置く。
右側面図(d)は、左側に置く。
背面図(f)は、都合によって左側又は右側に置くことができる。
※ 第一角法、第三角法は説明されているが、第二角法、第四角法というのは無いので
あろうか。
第二、第四角法では投影面を回転させたときに図が重なり合ってしまうので使用されな
いと述べているものがあるが正確な表現ではない。重なり合うときは回転軸からの距離
を変えればよいのだから。
第二、第四角法が使用されないのは、第一角法は投影面の前側に対象物が置かれ、第
三角法では投影面の後ろ側に対象物が置かれるのに対し、第二、第四角法ではこれが同
じ角法で前側と後側に置かれるため、はなはだ紛らわしくなるためである。
このことはJISでは説明されていない。少しでも説明されていれば第一角法、第三
角法を理解するのに役立つのではないだろうか。
第一角法について一言
第一角法は建築や船舶の分野でよく使用される。
これは、例えば建築物で学校の教室を考えた場合、正面を教室の黒板側とすると、右側面は廊下側の壁、左側は校庭側の窓になる。
つまり見たままそのままが正面図、右側面図、左側面図に現わされるわけである。
現わす図面の対象が、建築物のように内側から見たほうが理解しやすいことが多い場合、第一角法のほうが便利である。
常日頃、加工物を手に取って、ああでもないこうでもないと頭をひねっているものにとっては、まさにコペルニクス的転回である。