JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

CAD機械製図(2)

       CAD機械製図

       JIS B 3402

 

 この規格は、2021年  3月  22日 廃止となりました。

  JIS  B  0001  機械製図と内容が同じものなので廃止は当然かと思われますが、参考

  のため掲載します。

 

 この頁は前頁からの続きとなります。

 

7. 線の表し方

7.1 一般事項

) 線の太さ方向の中心は、線の理論上描くべき位置になければならない。

) 平行な線と線との最小間隔は、特に指定がない限り、0.7mmとする。

   備考 特に指示する場合の例として、CAD製図情報を三次元データに利用する

      場合などである。

7.2 線の交差 

) 長・短線で構成される線を交差させる場合には、なるべく長線で交差させる(

   7図12)。

   備考 一方が短線で交差してもよいが、単線と単線とで交差させないのがよい。

) 点線を交差させる場合には、点と点で交差させるのがよい(図13)。

 

 


※ 長・短線で構成される線の交差は、CADソフトにより自動的に図7~図12のよう

になればよいのだが、そうならない場合は規定でも"なるべく長線で"となっているの

で特にこだわる必要はない。

 

 

7.3 線の優先順位 2種類以上の線が同じ場所で重なる場合には、外形線、かくれ

線、切断線、中心線、重心線、寸法補助線の順で優先させて示す。

   参考 この優先順位は、図面を描く順序ではない。

7.4 線の色 線の色は、黒を標準とするが、他の色を使用または併用する場合には、

それらの色の線が示す意味を図面上に注記する。ただし、他の色を使用する場合には、

鮮明に複写できる色でなければならない。

8. 文字及び文章

8.1 文字 文字の種類及び大きさは、次による。

) 文字は、漢字、平仮名、片仮名、ローマ字及びアラビヤ数字を用いるのが良い。

    なお、漢字は、常用漢字を用いるのがよい。

) フォントについては、特に規定しないが、漢字、平仮名及び片仮名は全角を、ロ

   ーマ字、アラビヤ数字および小数点は半角を用いるのがよい。

8.1.2 書体 文字の書体は、直立体(ローマン体)又は斜体(イタリック体)によ

るが、これらの混用はしない。ただし、書体にかかわらず量記号を表示する場合には斜

体を用い、単位記号は直立体を用いる。

8.1.3 文字の大きさ 文字の大きさは、次による。

) 文字の大きさは、全角文字の基準枠の高さhの呼びによって表す。

) 文字のすき間は、特に定めないが、線の太さの2倍以上とするのがよい。

) 文字の呼びは、2.5mm、3.5mm、5 mm、7 mm及び10 mmを標準とする。

 

  例                              単位 mm

 フォントは特に指定されないので、例の文字フォントは規格本体(本文)のものと

この頁のものとは違うものである。この頁では、前半はメイリオ、後半は游ゴシック

Lightを使用した。規格本体のフォントは不明である。

 文字の大きさは、書き込むスペースと、文字数で決まってくるので、標準以外でも

8、6、4mmなどを使用してもよい。ただし出来るだけ大きいサイズにすることは、

手書きの場合と同じである。

 また、機械製図では、16画以上の漢字はできる限り仮名書きとすると規定されている

が、CAD製図にはこの文言はない。

 ただし、JIS  Z  8313-5  製図—文字―第5部:CAD用文字、数字及び記号 の附属

書1 CAD用平仮名、片仮名及び漢字 には、16画以上の漢字はできる限り片仮名と

すると規定されている。

 この場合、JIS  Z  8313-5  が適用され、16画以上の漢字はできる限り片仮名となる

が、できる限りとなっているので、CAD製図の場合、画数の多い文字でも滲みなどで

読みにくいことは少ないだろうから、漢字を下手に平仮名にすることは考えなくてよ

い。

 

) よう(拗)音(びゅーの"ゅ"、キャの"ャ"など。)、つまる音(促音)(め

   っきの"っ"など。)は、全角の 0.7 倍を標準とする。

8.2 文章 文章の表し方は、次によるが、文字高さの基準線を合わす。

) 文章は、左横書きとする。和英で表記する場合には、和文を最初に、次に英文を

   記述する。

   この場合、解釈に疑義が生じた場合には、和文を正本とする。

 

   

                                 単位 mm

) 仮名は、平仮名を標準とするが、外来語、動植物名、特に注意を喚起する用語

   (例えば、塗装の"ブツ"、擬音の"ギーギー音"など。)、付番のア、イ、ウ

   などは片仮名を用いる。また、片仮名を表示することが規格で規定されている用

   語(例えば、キリ、リーマなど。)は、それによる。

) 商品名、商標マークなどは、その意匠に基づいて記述するのがよい。

) 英文は、特別な理由がない限り、大文字で記述する。

) 数値と単位記号との間隔は、およそ\dfrac{1}{2}字間をあける。ただし、角度の単位の

    °  、′  及び  ″  については、数値と単位記号との間隔は開けない。

9. 尺度 尺度は、描いた図形の長さと実際の対象物の長さの比で表し、現尺の場合に

は1:1で、縮尺の場合には、例えば、1:2、倍尺の場合には、例えば、5:1のよ

うに表す。ただし、1枚の図面で幾つかの尺度で描いた図形がある場合には、主となる

尺度を表題欄の中に記入し、その他の尺度はその図形の付近に表示する。また、例外的

に現尺、縮尺及び倍尺のいずれも用いない場合には、"非比例尺"と表示する。

 なお、二次元図形の図面に三次元図形を参考図示する場合には、その三次元図形に尺

度を表示しない。

10. 投影法 投影法は、JIS  Z  8316  に規定する第三角法を用いて表し、図14に示す

第三角法の記号を表題欄に指示する。ただし、第一角法による場合には、図15に示す第

一角法の記号を表題欄に指示する。

 なお、第三角法を用いて表した場合、図形を一層理解させるために、JIS  Z  8316  に

規定する矢示法を用いてもよい(図16)。

   参考 矢示法は、やしほうと読む。また、その他の投影法を用いる場合には、投

      影法の名称を表題欄に指示する。

 

 尺度、投影法については、機械製図の頁で詳しく述べているので、そちらを参照願

います。

 第三角法、第一角法の記号は、JIS  Z  8315-2  製図―投影法—第2部:正投影法 の

附属書A 図記号の比率及び寸法 で規定されているが、図14、図15の記号は、この規

定の比率とは違うようである。

 矢示法についてはこの規格で参考ながら、はっきりと、やしほうと読むと明記されて

いる。このことも、矢示法の頁を参照願います。