機械製図
JIS B 0001
※ この頁は、以前の頁 線と文字の改訂版で、文字についての頁となります。線につ
いては、直前のページになります。
7 文字及び文章
7.1 文字の種類及び高さ
7.1.1 文字の種類
文字の種類は、次による。
a) 用いる漢字は、常用漢字表(昭和 56 年 10 月 1 日内閣告示第1号)によるのがよ
い。ただし、16 画以上の漢字はできる限り仮名書きとする。
b) 仮名は、平仮名又は片仮名のいずれかを用い、一連の図面においては混用しな
い。ただし、外来語、動物・植物の学術名及び注意を促す表記に片仮名を用いる
ことは混用とはみなさない。
例 外来語表記:ボタン、ポンプ
注意を促す表記:塗装のダレ、コトコト音
c) ラテン文字、数字及び記号の書体は、A形書体又はB形書体の何れかの直立体又
は斜体を用い、混用はしない(JIS Z 8313-0 参照)。ただし、量記号は斜体、
単位記号は直立体とする。
※ 図面の中の文章に使われる仮名文字は以前は片仮名が多かった。鉛筆書きしていた
時は力が入りやすくかけるため、コピーした時もにじんだりせず鮮明に見えるからであ
ろう。
現代はコピー技術も進化しており、コピーして不鮮明になるようなことはない。平仮
名でも問題はない。
漢字の場合も同様の理由からか16画以上の漢字はできる限り仮名書きとする、となっ
ている。16画以上となると ”整” “機” “鋼” などが当てはまる。規定にもとずく
と ”機械製図” は ”キ械製図“ ”鋼材” は“コウ材” となり キカイ(奇怪)なこと
になる。画数などを数えて書くことなどないのだから気にすることはない。この規定の
コウザイ(功罪)はどんなもんであろうか。
※ 量は、物の大きさ広さなどのことで、量記号はそれを表す記号のこと。例えば機械
製図では、長さの l 、角度の α や β など。 単位は量を数値で表すための基準で、単位
記号はそれを表す記号。例えばメートルのmや角度の rad や ° 、′ 、″ などのことであ
る。
7.1.2 文字高さ
文字高さは、次による。
a) 文字高さは、一般に文字の外側輪郭が収まる基準枠の高さ h の呼びによって表
す。
注記 漢字、平仮名及び片仮名の文字高さは、 JIS Z 8313-10 に規定する基
準枠の高さ h で表す。
また、ラテン文字、数字及び記号の文字高さは、 JIS Z 8313-1 に規定
する基準枠の高さ h で表す。
b) 漢字の文字高さは、呼び 3.5 ³⁾ mm,5 mm,7 mm 及び 10 mm の4種類とす
る。また、仮名の文字高さは、呼び 2.5 ³⁾ mm、3.5 mm、 5 mm、7 mm 及び
10 mm の5種類とする。ただし、特に必要がある場合には、この限りでない。
なお、既に文字高さが決まっている活字を用いる場合には、これに近い文字高
さで選ぶことが望ましい。
注 ³⁾ ある種の複写方式では、この大きさは適さない。特に、鉛筆書きの場合
には注意する。
c) 他の漢字及び仮名に小さく添える"ゃ"、"ゅ"及び"ょ"[よう(拗)音]、
つまる音を表す"っ"(促音)など小書きにする仮名の文字高さは、この比率に
おいて 0.7 とする。
d) ラテン文字、数字及び記号の文字高さは、呼び 2.5 ³⁾ mm、3.5 mm、 5 mm、7
mm、及び 10 mm の5種類とする。ただし、特に必要がある場合には、この限り
ではない。
※ ついでながら ”A” “B” ”C” は、ローマ字あるいはラテン文字である。JIS
では英文字という表現は使われない。正式にはラテン文字ということらしい。PCのキ
ーなどは英字、英数文字となっているのに。
e) 文字間のすき間(a)は、文字の線の太さ(d)の2倍以上とする。
ベースラインの最小ピッチ b は、用いる文字の最大の呼びの 14/10 とする(図
8参照)。
f) 漢字の例を図9に、仮名の例を図10に、ラテン文字及び数字の例を図11に示す。
※ この図では書体は游ゴシックを使用した。
※ 図9以下のフォントは、MSゴシック及びMSゴシックを一部修正したものを使用
した。
7.2 文章表現
文章表現は、次による。
a) 文章は、口語体で左横書きとする。
なお、必要に応じて、分かち書きとする。
b) 図面注記は、簡潔明りょうに書く。
例 図面注記1 測定の標準温度は、JIS B 0680 による。
2 A面は、す(摺)り合わせとする。
※ 図面中の文章は意外と読まれないものである。長々と書かれているものほどその傾
向にある。もちろん、目を通さないことはないが加工中まで完全に理解されていること
はない。加工中寸法を追っているときに文字は追わない。できるだけ図示して、図では
充分に表せないもの、特に強調したいものにとどめておいたほうが良さそうである。
文章は、左横書きと規定されているが、図面のスペースにより縦書きの方が良い場合
もある。横書きにこだわる必要はない。
必要に応じては分かち書きにする。分かち書きとは、文章において語と語の間をあけ
て書く書き方である。例えば、「必要に 応じては 分かち書き にする」 などの書
き方である。読みやすくわかりやすいものとするには、一つのやり方である。
句読点(くとうてん)もその一つであるが、規定には何もない。最近では句点に拒否
反応があるようでもある。
句読点には、区切るということからお祝い事には使用しないというマナーがある。
また、句読点をいれた場合、入れないと読めないだろうということから、見下してい
る。逆に、入れない場合は、入れなくても読めるでしょうという尊敬の気持となる、な
ど場合により様々な作法があるようである。
技術文書においてはこのようなことは、考慮する必要はない。図面として正しく伝え
られることを考えておけばよい。
図面注記の例にある、摺り合わせは、おそらく摺が、常用漢字ではなので、す(摺)
り合わせとしたのだろうが、この程度の専門用語に、このような表記をする必要はな
い。
常用漢字の担当官庁が文科省かどうかは知らぬが、技術用語については官庁にすり寄
る必要はない。
句読点は、技術専門用語ではないので、くとうてん と読みを入れておきました。