機械製図
JIS B 0001
5 図面の大きさ及び様式
5.1 図面の大きさ
図面の大きさは、次による。
a) 図面に用いる用紙のサイズは、表1、表2及び表3に示すシリーズから、この順
に選ぶ。
b) 原図には、対象物の必要とする明りょうさ及び適切な大きさを保つことができる
最小の用紙を用いる。
表3-特別延長サイズ(第3優先)
単位 mm
※ 原図には、必要とする明りょうさ及び適切な大きさを保つことのできる最小の用紙
を用いるのが良い と規定されている。
規定されなくとも、FAXやメールで図面をやり取りすることが多い今は、先ずA4に
収まるかどうかを考えるのが普通。少々無理でもA4にしておいたほうが後々面倒がな
い。むろん機械製図でも精密機器などの分野での話であるが。
場合によっては一つのものを2枚の図面に描くという離れ業も使うことがある。
一枚目には正面図を描き、二枚目には側面図を描くというやり方である。一品多葉方式
であるが部品図ではあまり見られない。一品一葉という固定観念があるからだろうか、
離れ業というほどのことでもないが。
5.2 図面の様式
図面の様式は次による。
a) 図面は、長辺を横方向に用いるが、A4については縦方向になるように用いても
よい。
b) 図面には、表4の寸法によって、線の太さが最小 0.5 mmの輪郭線を設ける。
c) 図面には、その右下隅に表題欄を設け、図面番号、図名、企業(団体)名、責任
者の署名、図面作成年月日、尺度、投影法などを記入する。
※ 表題欄
JIS Z 8311製図ー製図用紙のサイズおよび図面の様式 では表題欄の位置は右下隅に
来るようにするのが良い と表記されているが機械製図 B 0001 になると、その 右下
欄に表題欄を設け とより厳密になっている。規定ではこのようになっているがと指摘
されて、いやそうではない表現があったはずだがと探そうとするが、そういうときは見
つからない。
~するのが良い、~が望ましい。と表現されているときは、ほかの項目で違っている
こともあるので、~である と承知しておいたほうが良い。
表題欄には、図面番号、図名、企業(団体)名、責任者の署名、図面作成年月日、尺
度、投影法などを記入する。投影法は、第三角法によると決められている。ここでも製
図ー投影法 では投影法を表示するための図記号は製図では必要ない とあるが機械製
図では投影法の記号を表題欄の中又はその付近に示す とある。第一角法と第三角法の
記号が決められており、ほとんどの図面には記入されている。記号は比率まで決められ
ており、黄金比ではないがそれなりに検討された美しい図になっていると思う。この比
がでたらめなものが見受けられるが、どうせ記入するならきちんとした図を記入しても
らいたいものである。しかし決められているのにわざわざ第三角法で書いてますと記入
する必要は全くない。必要でないものは省く、描かなくてもわかるものは描かない、と
するコンセプトが製図にはあると思う。
米澤穂信のミステリーに登場する高校生主人公 折木奉太郎 のモットー 「やらな
くてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」ということ
だが製図の場合手短にとはいかない。少なくとも加工者に計算をさせるような図面は描
かないよう心掛けたいものである。
※ 輪郭及び輪郭線
図面には輪郭を設け輪郭線を描く。図面がそのまま素手で扱われ切削油や研削液でよ
ごれたり破損したりという時代はあった。図面ケースやクリヤファイルで図面を簡単に
保護できる現代はこのことにあまりこだわらなくてもよいと思う。そのようなことがあ
ってもすぐプリントアウトだってできるのだし。前に述べたようにできるだけA4に収
めたいのに10ミリの幅は結構きつい時がある。
しかしながら輪郭線がないとしっかり描かれた図面でも仮図の領域を出ず、輪郭線が
あるとちゃちな図面でもきりっと引き締まった立派な図面になるから不思議である。
d) 図面に設ける中心マーク、比較目盛り、格子参照方式及び裁断マークは、JIS Z
8311 による。
※ 中心マーク
輪郭線がどの図面に入っているのに対し、中心マークが入っている図面はほとんど見
たことがない。複写又はマイクロフィルム撮影の際の図面の位置決めに便利なように、
中心マークをもうけなくてはならない( JIS Z 8311 の7. 中心マークの項参照) と
あるが、マイクロフィルムで図面を管理しているという話は聞いたことがない。ごく一
部のためにわざわざ必要もないものを設定することはない。無視してよいと思う。
e) 複写した図面を折りたたむ場合には、その大きさを、210 mm × 297 mm (A4
サイズ)とするのがよい。
注記1 原図をまいて保管する場合には、その内径は 40 mm 以上にするのが
よい。
注記2 図面を折りたたむ場合の折り方は、JIS Z 8311 の附属書(参考)に
よるのがよい。