製図―投影法―第2部:正投影法
JIS Z 8315―2
序文 前部略
正投影法は、すべての製図の分野(機械、電気、建築など)で機械的な対象物を投影
する方法として幅広く利用されており、公認の技術言語として考えることができる。
なお、この規格で点線の下線を施してある箇所は、原国際規格にない事項である。
※ 点線の下線については省略しています。
1. 適用範囲 この規格は、JIS Z 8313-1、 JIS Z 8315-1 、 JIS Z 8316、JIS Z
8317及び ISO 3461-2 に規定された一般規則に従って、すべての技術分野であらゆる
種類の製図に対して正投影を行う場合の基本的な規則を規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格はこの規格に引用されることによって、この規格の規定
の一部を構成する。これらの規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8114 製図―製図用語
備考 省略
JIS Z 8313-1 製図―文字―第1部:常用するローマ字、数字および記号
備考 省略
JIS Z 8315-1 製図―投影法―第1部:通則
備考 省略
JIS Z 8316 製図―図形の表し方の原則
備考 省略
JIS Z 8317 製図—寸法記入方法―一般原則、定義、記入方法及び特殊な指示方法
備考 省略
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は、JIS Z 8314 及び JIS Z 8315-1 の
定義による。
4. 共通事項
4.1 一般 正投影図は、平行な正投影線を用いて描かれ、互いに対称的な位置を占め
る二次元の平面図形になる。対象物を完全に図示するためには、6方向(a、b、c、
d、e及びfの優先順位)の投影図が必要である(図1及び表1参照)。
4.2 投影図の呼び方 投影図の名称は表1による(表1参照)。
通常、投影対象物の最も主要な部分を主投影図(正面図)として選ぶ。それはa方向
からの投影図Aであり(図1及び表1参照)、一般的には対象物を、機能上、製作上又
は据付けの位置から見て図示する。製図の主投影図と関連するその他の投影図の位置
は、投影方法[第一角法、第三角法、矢示法(reference arrows method)]によって異
なる。実際には六つの投影(AからF)すべては必要ない。主投影図以外の図形(切断
又は切り口)が必要な場合は、次の点に注意して選ばなければならない。
― 不明確なところがないように対象物を完全に図示するために、十分かつ必要最小限
度に図形、切断及び切り口の数を決める。
― 詳細部分の不必要な繰返しを避ける。
5. 投影方法
5.1 第一角法 第一角法は、対象物(図1参照)を観察者と座標面の間に置き(図2
参照)、対象物を正投影したときの図形を座標面に示す方法である。
主投影図(正面図)に関連するその他の図の位置は、主投影図(正面図)Aを含む座
標面(紙面)のりょう(稜)又はこれに平行な他のりょうを軸にして、各投影面を回転
させることによって決まる(図2参照)。
図2
製図では、主投影図Aに対してその他の投影図をを次のように配置する(図3参
照)。
― 図B:上方から見た図形はAの下に置く。
― 図E:下方から見た図形はAの上に置く。
― 図C:左方から見た図形はAの右側に置く。
― 図D:右方から見た図形はAの左側に置く。
― 図F:後方から見た図形は、状況によって、Aの右側又は左側に置くことができ
る。
図4は、第一角法であることを示す図記号である。
5.2 第三角法 第三角法は、対象物(図1参照)を観察者と座標面の間に置き(図5
参照)、対象物を正投影したときの図形を、対象物の手前の座標面に示す方法である。
それぞれの座標面上にできる対象物の像は、無限の距離から対象物を透明な投影面に正
投影したときの形と同じになる。
主投影図(正面図)に関連するその他の図の位置は、主投影図(正面図)Aを含む座
標面(製図面)のりょう又はこれに平行な他のりょうを軸にして、各投影面を回転させ
ることによって決まる(図5参照)。
図5
製図では、主投影図Aに対してその他の投影図をを次のように配置する(図6参
照)。
― 図B:上方から見た図形はAの上に置く。
― 図E:下方から見た図形はAの下に置く。
― 図C:左方から見た図形はAの左側に置く。
― 図D:右方から見た図形はAの右側に置く。
― 図F:後方から見た図形は、状況によって、Aの左側又は右側に置くことができ
る。
図7は、第三角法であることを示す図記号である。
5.3 矢示法による配置(Reference arrows layout) 第1角法又は第3角法のよう
な厳密な配置によらず、図形の位置を決めるほうが便利と考えられる場合には、矢示法
(Reference arrows layout)を用いて任意に位置決めをし、多様な投影図を得ることが
できる。
主投影図以外の各投影図は、図1に示した文字によって区別しなければならない。主
投影図に付けた英小文字(図8参照)は、他の投影図を描くときに対象物を見る方向を
示す。対象物を見た方向と投影図との対応は、投影図の左上に英大文字を付けて行う。
識別文字を付けた投影図は、主投影図と関係なく配置することができる(図8参
照)。ただし、投影図を識別するために大文字(JIS Z 8313-1 )を付けた図は、常に
図面を正常に読み取れるような位置に置かなければならない。
この投影方法を表示するための図記号は製図では必要ない。
5.4 鏡像投影 鏡像投影(¹)は、投影対象物(図1参照)を、対象物の水平面内に
平行に置いた鏡(鏡面が上)に投影してできた像を、正投影で表したものである(図9
参照)。
図10は鏡像投影であることを示す図記号である。
注(¹) この投影法は、建築製図でよく用いられる。
附属書A(規定) 図記号の比率及び寸法
A.1 一般規則 JIS Z 8315-2 で規定される図記号の寸法と、他の製図に表示された
寸法とが合致するように ISO 3461-2 の規定を適用する。
A.2 比率 図記号は、図A.1、図A.2及び図A.3に従って描くこと。実用的な理由
によって、中心線は省略してもよい。
A.3 寸法 図記号及びその他の附属的な表示をするとき、寸法範囲を表A.1に規定
する。
※ 第三角法、第一角法は、図学ではそれぞれ第三象限、第一象限での投影である
(投影法の頁参照)。
この規格では、第三象限、第一象限は、図2、図5にある円の中の1~4の数字が各
象限を表している。普通、象限は左回りで表されるのでこの場合は逆回りで表されてい
る。各象限は、後ろ側から見たようになっているので、象限を考えて理解するには、は
なはだ解りずらいものとなっている。
したがって、右から見た図は正面図の右に描くのが三角法であり、左に描くのが一角
法と、覚え込むことになる。
これでは、正確な投影法を理解できないままになるので、この辺は工夫が必要となる
のではないだろうか。
第三角法、第一角法については他の頁でも述べることになります。
鏡面投影については、注にあるように建築製図で使われるものなので、機械製図では
まず使うことはない。参考として知っている程度でよいと思う。
矢示法については、矢示法の頁があるのでそちらを参考にして頂きたい。付け加えて
おくと、矢示(やし)を、やじ という人がいるが、やし では 矢視と間違われてし
まうためかと思われる。
附属書Aの図記号についても、図面の大きさ、および様式 の頁で述べているのでそ
ちらを参考にしてください。