JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則 (寸法の配置、附属書)

   製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則

        JIS Z 8317-1

 

 前頁からの続きになります。

 この頁の内容も、機械製図の規定の方が詳しくなっています。前頁と同様に、以前の

頁 寸法記入方法(1)~(7)を参照願います。

 

8. 寸法の配置

8.1 一般事項

 並列寸法記入、直列寸法記入、累進寸法記入又は複合寸法記入ができるように、寸法

線を配置する。

8.2 並列寸法記入法

 寸法数値は、平行又は同心円弧の寸法線の上側に置く(図60及び図61参照)

 

 寸法数値は、前の頁 5.6.2 寸法数値の配置 で、ほぼ中央で寸法線からわず

かに離した上側に配置する となっている。

 並列寸法記入法でも、これは当てはまり図60のように記入する。

 このことは念押ししておいてよいと思う。次項目の累進寸法記入法とは違いがあるこ

とがはっきりする。

 

 なお、配置の詳細は、この頁の附属書Aで説明します。

 

8.3 累進寸法記入法 

 累進寸法記入法は、図面のスペースに制約がある場合、又は判読に問題が生じない場

合に用いてもよい。共通の原点は、図62図64のように起点記号を用いて表す。

 寸法数値の配置は、次のいずれかによる。

― 対応する寸法補助線の傍らで、端末記号の近くに置く(図62及び図63参照)。

― 対応する寸法線の上側で、端末記号の近くに置く(図64参照)。

  注記 累進寸法記入法は、簡略化した並列寸法記入法である。

 

 

 累進寸法記入法では、寸法数値は、寸法補助線の傍らで、端末記号の近くか、寸法

線の上側で、端末記号の近くのどちらかになる。

 並列寸法記入法では、寸法数値は寸法線のほぼ中央で、この点が異なっている。

 寸法数値の記入位置が正しければ、起点記号の白丸が記入漏れとなっていても、なん

とか間違いなく読まれるようではある。

 

8.4 直列寸法記入法

 各寸法を一列に連ねて配置する(図65参照)。

  注記 公差の累積が部品の機能に影響を与えない場合に用いる。

6.5 座標寸法記入法

 直交座標系では、原点からの長さ寸法を直交方向に定義する(図66及び図67参照)。

座標値を各点の傍ら又は数値表に示す。寸法線も寸法補助線も用いない。

  注記 建築の分野では、"X"及び"Y"軸はこの規格に従って様々な方法で用い

     られる。三次元的な表現でしばしば"Z"軸によって表される高さは、"X 

     "及び"Y"軸と共通の原点をもたないことがある。

 極座標系では、原点からの位置を半径と角度によって与える。これらの値は正(プラ

ス)であり、角度は反時計回りに指示する(図68参照)。

 直交座標軸の正及び負の方向は、図67のように与える。負の方向の寸法数値には、負

の記号"ー"を付ける(JIS  B  0011-2  参照)。

 直交座標系の原点は、形体のかど又は図形の外側に設定してもよい(図66及び図69

照)。

 座標値は、座標の近くに直接記入する(図69参照)。

 座標系は、副座標系をもってもよい。この場合、各座標系の原点及び各座標系の特定

位置は、連続するアラビヤ数字を付けて識別する。ドット(点)によって座標系と特定

の位置とを区切って区別する(図70参照)。

 

 極座標系の場合、角度は反時計回りに指示する。Y軸を基準として角度を表示した

いことが出てくるが、この場合、角度の表示はマイナスとなる。極座標ということを意

識していないのか、正の角度で指示していることがある。起点記号も抜けている場合も

あるのだが、単にRと角度の寸法を記入したことと同じで、これはこれでそのまま通用

するようである。

 機械製図での極座標記入法でも、例図は角度の表示が時計回りであり、マイナスの符

号はついていない。

 

 

8.6 複合寸法記入法

 二つ又はそれ以上の寸法記入法を同じ図面上で用いてもよい。

 図71に、単一寸法と累進寸法とを用いた例を示す。

 図72に、累進寸法と並列寸法とを用いた例を示す。



          附属書A

          (規定)

        図示記号の大きさ

序文

 この附属書は、図示記号の大きさを規定する。

 この規格で規定された図示記号の大きさが、図面上の他の文字・記号(寸法、文字、

公差)の大きさと調和するように、図A.1に示す JIS  Z  8222-1  による。"a"は文

字記入の領域であり、"h"は文字の高さである。( JIS  Z  8313-0  に規定するB形直

立文字によって表される)。他の図示記号は、JIS  Z  8313-5  を参照する。

                 図A.1

 

※ この規格での、上記の図示記号とは、端末記号と起点記号、円弧記号のことであろ

うか。

 端末記号は c)の30° 開き矢を使用することが一般的である。使用する文字の大き

さで矢の大きさも決まるが、スペースのない場合は、この寸法にこだわらなくてもよ

い。

 また、スペースがない場合、寸法線は連続した線でなければならないが、線を中断さ

せて寸法を記入することもある。以前の規格で、寸法は寸法線を中断させて記入してい

たので、その名残りか。

 

 

 図示記号及び文字記号の応用例を表A.1に示す。

 

 表A.1の図示記号、文字記号は、寸法補助記号や対象図示記号等のことか。

 寸法補助記号については、以前の頁 寸法記入方法(4)寸法補助記号 同じく

(5)寸法補助記号(続き)を参照願います。

 

 

          附属書B

          (参考)

          参考文献

※ 規定の一部ではないので、参考文献12項目及び注記4項目省略

 

          附属書JA

           (参考)

      JISと対比する国際規格との対比表

 製図とは直接関係しないのですべて省略