このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま
す。
まず、JIS規格本文を掲載し、それについて解説やコメントがある場合、※を付け
てJIS規格とは違う観点からの考えを述べています。
CAD機械製図
JIS B 3402
※ この規格は、2021年 3月 22日 廃止となりました。
JIS B 0001 機械製図と内容が同じものなので廃止は当然かと思われますが、参考
のため掲載します。
1. 適用範囲 この規格は、主として機械工業の分野においてCADによって行う製図
(以下、CAD製図という。)について規定する。
2. 引用規格 JIS規格22項目省略
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は、JIS B 3401 及び JIS Z 8114 によ
る。
※ JIS B 3401 は、前頁の CAD用語である。JIS Z 8114 は、製図―製図用語で、
これも以前の頁で、(1)~(5)まで掲載している。
4. 一般事項
4.1 具備すべき情報 CAD製図は、次の事項を備えなければならない。
a) 図面管理上必要な情報(例えば、図面名称、図面番号、製図者、図面承認者な
ど。)
b) 形状に必要な情報(例えば、投影図、断面図、寸法、三次元形状データなど。)
c) 属性情報(例えば、材料、表面粗さ、熱処理条件、試験条件、引用企画など。)
4.2 基本要件
a) 4.1の情報を明確に表現しなければならない。
b) あいまいな解釈が生じないように、表現の一義性(sufficiently definitive)をもた
なければならない。
c) 複写したものは、鮮明に読むことができなければならない。
d) CAD製図は、適切なシステムを用い、手書き製図と混用しない。ただし、製図
者、設計者、図面承認者などの署名は、混用とはみなさない。また、製品(又は
部品)の製作のためのCAD図面情報は、管理状態になければならない。
5. 図面の大きさ及び様式
5.1 図面の大きさ 図面の大きさは、JIS Z 8311 に規定するA系列を標準とする。
5.2 図面の様式 図面の様式は、次による。
a) 図面用紙は、長辺を横方向に置いて用いるが、A4の図面用紙については縦方向に
置いて用いてもよい。
b) 図面には、表1の寸法によってマージンを設けて、線の太さが最小0.5 mm以上の
輪郭線を引く。
c) 図面には、輪郭線の内側に接してその右下隅に表題欄を設け、投影法、尺度、製
図年月日、CADシステム名、図面番号、図名、企業(団体)名、設計責任者の署
名などを記入する。
d) JIS Z 8311 に規定する図面管理上で必要な事項(マーク、文字記号など)を輪
郭線の外側に付記する。
e) 図面に必要な3D CADデータを関係づける場合には、その管理番号を表題欄
の中又はその付近に示す。
※ この項目で、CAD機械製図とJISの機械製図が異なっていることは、用紙のサイズに
おいて、第2優先、第3優先の特別延長サイズが規定されていないことである。
一般の機械製図において、特別延長サイズは使用されることがまずないので、実用上
は同じ内容の規格である。
6. 線
6.1 線の種類及び用途 線の種類及びその用途は、表2による。ただし、その他の線
を用いる必要がある場合には、表3によるのがよい。
6.2 線の太さ 線の太さの基準は、0.13,0.18,0.25,0.35,0.5,0.7,1.0、1.4及び
2 mmとする。
表2の細い線、太い線及び極太の線の太さの比は、1:2:4とする。
なお、計画図、設備配置図などで筆記具にボールペンを用いる場合には、線の太さは
問わない。
6.3 線の要素の長さ 線の要素の長さは、JIS Z 8321 に基づいて、次の計算による
値が良い。
6.3.1 破線 図1に示す破線のそれぞれの要素の長さは、次によるのがよい。
6.3.2 一点長鎖線 図2に示す一点長鎖線のそれぞれの要素の長さは、次によるの
がよい。
6.3.3 二点長鎖線 図3に示す二点長鎖線のそれぞれの要素の長さは、次によるの
がよい。
6.3.4 点線 図4に示す点線のそれぞれの要素の長さは、次によるのがよい。
6.4 線の組合せ 線の基本形を2本組み合わせて、意味をもった線として使用するこ
とができる。
例1. 実線と破線との組合せ(図5)
例2. 実線と一様な波形実線との組み合わせ(図6)
※ JIS Z 8321 は、製図—表示の一般原則—CADに用いる線 である。
線の太さの基準等は、機械製図の規定と全く同じとなっている。
破線や、一点鎖線などの要素の長さは、CADシステムの設計者に必要な事項で、規定
によるのがよいとなっていることから、製図者にはあまり気を遣うことではないといえ
る。
表3 線の基本形
※ 表2及び表3は、機械製図の規格の 表5ー線の種類及び用途 とほぼ同じで、パ
イプライン、配線、囲い込み線の用途の線種を、表3としたものとなる。
表3の一点単鎖線以降は、機械製図ではあまり使わないものである。これもCADシス
テム設計者が参考にするもので、機械製図者は、気にする必要はない。