JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図―文字―第10部:平仮名、片仮名及び漢字

     製図―文字―第10部:平仮名、片仮名及び漢字

          JIS Z 8313-10  

 

1. 適用範囲 JIS  Z  8313  群のこの部は、製図及びそれに関連した文書で用いる平仮

名、片仮名及び漢字(以下、文字という。)について規定する。

  備考 ローマ字、数字および記号は、JIS  Z  8313-1  による。

2. 引用規格 次に掲げる規格は、この部に引用されることによって、この部の規定の

一部を構成する。これれの引用規格は、その最新版を適用する。

  JIS  Z  8114    製図用語

       JIS  Z  8313‐0    製図―文字―第0部:通則

       JIS  Z  8313‐1    製図―文字―第1部:ローマ字、数字および記号

       JIS  Z  8601    標準数

3. 定義 この部で用いる主な用語の定義は、JIS  Z  8114  による。

4. 一般事項 製図に用いる文字に関する一般事項は、次による。

) 読みやすい 文字は一字一字が正確に読めるように明りょうにはっきり書く。鉛筆

書きの文字は、図形を表した線の濃度をそろえて書く。

) 均一である 同じ大きさの文字は、その線の幅をなるべくそろえる。

) 図面のマイクロフィルム撮影や他の写真複写に適している 図面をマイクロフィル

ムに撮影したり他の写真複写をして利用する場合に、はっきりと読めるように文字と文

字とのすき間をあける。

5. 文字

5.1 漢字 漢字は、次による。

) 用いる漢字は、常用漢字表(昭和56年10月1日内閣告示第1号)によるのがよい。

ただし、16画以上の漢字はできる限り仮名書きとする。

) 漢字の例を付図1に示す。

5.2 仮名 仮名は、次による。

) 仮名は平仮名又は片仮名のいずれかを用い、一連の図面においては混用はしな

い。ただし、外来語の表記に片仮名を用いることは混用とはみなさない。

) 平仮名の例を付図2に、片仮名の例を付図3に示す。

6. 文字の大きさ

6.1 文字の大きさの表し方 文字の大きさは、一般に文字の外側輪郭が収まる基準枠

の高さhの呼びによって表す(図1参照)。漢字も仮名も基準枠の考え方は、同じであ

る。

  参考 ローマ字、数字および記号の大きさは、JIS  Z  8313-1  に規定する基準の高

     さhで表す。

6.2 文字の大きさの呼びの種類 文字の大きさの呼びの種類は次による。

 漢字 3.5 ¹)、5、7、10、14、20  mm

 仮名 2.5 ¹)、3.5、5、7、10、14、20  mm

 なお、活字で既に大きさが決まっているものを用いる場合には、これに近い大きさで

選ぶことが望ましい。

   ¹)  ある種の複写方法では、この大きさは適さない。特に鉛筆書きの場合には注

     意する。

  備考 これらの文字の大きさの呼びは、JIS  z  8601  のR20/3(・・・10・・・)による。

6.3 文字の大きさの組合せ 図面中の一連の記述に用いる文字の大きさの比率は、次

のようにすることが望ましい。

 ただし、他の仮名に小さく添える"ゃ"、"ゅ"及び"ょ"[よう(拗)音]、つま

る音を表す"っ"(促音)など小書きにする仮名の大きこの比率において 0.7 とする。

 (漢字):(仮名):(ローマ字、数字及び記号)=1.4:1.0:1.0

7. 文字の線の太さ 文字の線の太さdは、文字の大きさの呼びhに対して、次の値に

することが望ましい。

) 漢字 \dfrac{1}{14}

) 仮名 \dfrac{1}{10}

  参考 ローマ字、数字及び記号の線の太さは、JIS  Z  8313-1  に規定する文字の大

     きさの呼びに対して、A形書体では、\dfrac{1}{14}、B形書体では\dfrac{1}{10}である。

8. 文字間のすき間とベースラインの最小ピッチ 文字間のすき間aは、文字の線の太

さの2倍以上とする。ただし、隣り合う文字の線の太さが異なる場合は、広い方の文字

の線の太さの2倍以上とする(図1参照)。

 ベースラインの最小ピッチbは、用いている文字の最大の呼びhの\dfrac{14}{10}とする(図1

参照)。

  参考 ベースラインの最小ピッチは、行の最小ピッチと同じ意味である。


 機械製図の文字については、 線と文字 の頁で説明してある。

 この規格は、鉛筆書きを想定しているので、漢字の場合16画以上の文字は、できる限

り仮名書きとすると規定されている。

 鉛筆書きの場合、画数が多くなると、明瞭に書くことは困難であり、これをコピーし

た場合は、滲み等があり、読みずらくなるのは仕方がない。

 しかしこれはいつの時代のことか。鉛筆で書くことは無論少ないし、コピーも進歩し

ており、滲みが出ることは少ない。

 画数が多いからと言って、仮名にする必要は全くない。明瞭 という語を、どういう

理由か 明りょう とする方がよほど読みにくい。

 図1に示されている 国際化 整合化 の文字の中で、際は14画であるが、整は16画

である。規定どおりにすると、際は漢字で整は仮名にすることになる。二つを比べてみ

ても、差は、感じられない。

 そもそも、仮名書きにするとなっている画数の文字を、例として挙げているのはどう

いう意図であろうか。