製図―寸法及び公差の表示方式―円すい
JIS B 0028
序文 省略
1. 適用範囲 この規格は、円すいの図面指示に用いる図記号及び寸法・公差の表示方
式を規定する。
この規格では、軸直角断面が円である円すいだけを扱う。
注 JIS B 0154(円すい用語)の204参照
備考1. この規格では、簡単のために円すい台だけで図示しているが、適用範囲に
従う円すいであれば、どんなタイプの円すいにも適用してよい。
2. この規格に規定する寸法・公差の表示方式以外の方式を禁止するものでは
ない。
2. 引用規格 次に掲げる規格は、規格に引用されることによって、この規格の規定の
一部を構成する。これの引用規格は、その最新版を適用する。
JIS B 0612 円すいテーパ
備考 省略
3. 定義 この規格で用いる用語の定義は、次による。
テーパ比C:円すいの二つの軸直角断面における直径の差とその両断面間との距離の
比。
次式によって表される(図1)。
C==2tan( )
4. 円すいの図記号 円すいは、図2に示す参照線上に描いた図記号によって指示する
( 図7及び図8)。
記号の大きさ及び線の太さについては、ISO 3461-2 を参照。
5. 円すいの寸法表示方式
5.1 円すいの特性および寸法 円すいは、その機能を表すのに最適な特性および寸法
(表1)を組み合わせて定義することができる。
必要以上の特性および寸法は指示してはならない。ただし、付加的な寸法(例えば、
円すい角度の二分の一など)は、括弧の中に入れて参考寸法として示してもよい。
円すいの特性および寸法の代表的な組み合わせを図3~図6に示す。
5.2 テーパ比の図示方法 円すいの図記号及びテーパ比を、円すい形体の近くに指示
し、図7に示すように引き出し線を用いて参照線と円すいの外形戦線とを結ぶ。参照線
は円すいの中心線に対して平行に引き、円すいの図記号は円すいの方向と一致させて描
く。
5.3 特定用途の円すいの標準系列 特定用途の円すいで規格に規定されている(特
に、モールステーパ又はメトリックテーパ)の場合には、その名称及び番号によって指
示してもよい(図8)。
6. 円すいの公差表示方式 円すいは、6.1~6.5によって、(寸法及び円すい面に
対して)公差を指示する。
なお、文字記号は、公差域の幅を示す。
備考 寸法公差だけによって公差を表示する方法は、円すい面の形状に対しては適
切な指示方法ではない。
6.1 テーパ角度を指示した円すいの公差表示方式
6.2 テーパ比を指示した円すいの公差表示方式
6.3 軸方向位置に公差を与えない円すいの公差表示方式
6.4 軸方向位置に公差を与えた円すいの公差表示方式
6.5 データムと関連づけた円すいの公差表示方式
※ この規格は、機械製図 JIS B 0001 の 11.8.9 テーパの表し方 の詳細であ
る。短いのでこの部分を掲載する。
11.8.9 テーパの表し方
テーパは、テーパをもつ形体の近くに、JIS B 0028 に基づいて、参照線を用いて
指示する。参照線はテーパをもつ形体の中心線に平行に引き、引き出し線を用いて形体
の外形と結ぶ。ただし、テーパ比と向きを特に明らかに示す必要がある場合には、テー
パの向きを示す図記号を、テーパの方向と一致させて描く(図182参照)。
この規格 B 0028 では参照線や引き出し線を図で示して説明しており、親切であ
る。
テーパ比は、以前は図記号などなかったので、参照線上にテーパ 1:5 あるいは、
テーパ 1/5 のように記入した。
特殊用途で名称を使用する場合は、例えばモールステーパNo.3であれば、MT
No.3と略して記入される。
モールステーパのような名称を略語で記入することは、JIS規格では規定されていない
ようであるが広く一般的に使われていることである。むしろ略語で表すほうが普通では
ないだろうか。
この規格の本文中には、この規格に規定する寸法・公差の表示方式以外の方式を禁止
するものではない、とあるので略語での記入は全く問題ないであろう。
なお、モールステーパなどのテーパの詳細については 工具用テーパシャンク部及び
ソケット-形状・寸法 など種々の規格があるので、それらの項目での扱いになりま
す。