製品の幾何特性仕様(GPS)ー
プリズムの角度及びこう配の基準値
Geometrical Product Specifications (GPS) ―
Series of angles and slopes on prisms
JIS B 0615
※ プリズムは、一般には三角プリズムに代表される光学素子のことになるが、この規
格でのプリズムは本文中にあるように、交差する二つの平面によって区切られた部分の
ことである。
序文 省略
備考 省略
1. 適用範囲 この規格は、一般の機械用プリズムの角度 120°~ 0° 30′ 及びこう配
1 : 10 ~ 1 : 500 の基準値について規定する。
備考 省略
2. 定義及び量記号 この規格で用いる主な用語の定義及び量記号は、次による。
2.1 プリズム (prism) 互いに交差する二つの平面によって区切られた部分(図1
参照)。
備考 二つの平面をそれぞれ"プリズム平面"という。これらの二つの平面がはめ
あいの対象となる場合には、"プリズム用のはまり合う平面"という。
2.2 多重プリズム(multiple prism) 互いに交差する二つの平面の複数対で区切
られた部分(図2参照)。
備考1. 二重プリズムは、互いに交差する二つの平面の二対で区切られた部分。
2. 互いに交差する二つの平面のそれぞれの公差が一つの点の場合には、多重
プリズムは角すい(ピラミッド形)という(図3参照)。
2.3 くさび(wedge) 小さい角度をもつプリズム。
2.4 山形又はV形案内面、Vブロック、あり(slide prism、vee-block、dove
tail) 大きい角度のプリズム。
備考 これら大きい角度のプリズムは、例えば、工作機械の案内面として使用さ
れる(図4及び図5参照)。
2.5 プリズム角度(prism angle)β 互いに交差する二つの平面のなす角度(図1
参照)。
備考 プリズムのはまりあう平面のなす角度は、"プリズム用のはまりあう角度
"という。
2.6 プリズムこう配(prism slope)S 二つの断面における高さHとhとの差と、
その断面間の距離Lとの比(図6参照)。
S==tanβ
2.7 プリズム比(rate of prism)Cp 二つの断面における厚さTとtとの差と、
その断面間の距離Lとの比(図7参照)。
Cp=
参考 プリズム比は、JIS B 0612 に規定するテーパ比に相当する。
2.8 プリズムエッジ(prism edge ) 二つのプリズム平面の理論的な交線。
2.9 プリズムの中心平面(center plane of prism )EM プリズム角度を二等分し
たプリズムエッジをとおる平面。
2.10 プリズム高さ(height of prism )プリズムエッジに平行で、一方のプリズム
平面に垂直な与えられた断面に沿った高さ(図6参照)。
2.11 プリズム厚さ(thickness of prism )プリズムエッジに平行で、一方のプリ
ズム平面に垂直な与えられた断面に沿った厚さ(図7参照)。
3. 基準値 基準値は表1及び表2による。表1に規定するプリズム角度の基準値は、
系列1を優先して用いる。表2は、適用欄に示す特定の用途にだけ用いる。
表3は、個々の奨励するプリズム角度の基準値及びプリズムこう配の基準値に対応し
て、プリズムこう配、個々のプリズム角度及びプリズム比を計算して求めた数値であ
る。
附属書A(参考) GPSマトリックス
附属書A(参考) GPSマトリックス は、規定の一部ではないので省略。
附属書B(参考) 関連規格
附属書B(参考)関連規格 これも規定の一部ではないので省略。
※ この規格の名称に使われているプリズムは、光学素子のプリズムと誤解されるので
あろうか、現在はくさび形体と変更になり規格そのものも、第一部:角度及び勾配の基
準値 JIS B 0615-1 第二部:寸法及び公差の指示方法 JIS B 0615-2 と、二つに
分けられている。この頁では旧規格をそのまま掲載した。
くさびはプリズムという名称よりはよいと思うが、イメージ的には角度の大きいもの
に対してはどうかと思うところはある。この規格でも、くさびは小さい角度をもつプリ
ズムと規定されている。もともとは三角形を意味する言葉らしいので、くさび形体とし
ているので良しとしておきたい。ただし小さい角度と、大きい角度の境界は示されてい
ないようである。
規格名称に使われている"勾配"という語は、以前の規格では"こう配"とひらがな
混じりの表現になっていたが、今回は、"勾配"となった。これはよいことなのだが、
どうせなら"くさび"も"楔"にしておいてもらいたかった。
幾何特性仕様(GPS)は、国際規格の翻訳であるので、時折おかしな表現が出てくる
ことがある。このことは以前にも述べたが、そのほかにも、妙にひらがな表記のことが
あったりする。規格の内容以前に日本語の表現はよく検討してもらいたいものではあ
る。このブログの以前の記事を見てみると、下手な表現、まずい表現、おかしな表現は
ないわけではないので、そのようなことは言えた義理ではないのだけれど。