JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図ー表示の一般原則ー引出線及び参照線の基本事項と適用

      製図ー表示の一般原則ー

    引出線及び参照線の基本事項と適用

      JIS Z 8322

 

 機械製図では、引出線及び参照線の項目はない。こう配や、テーパの表し方のとこ

ろなどで、個々に説明されているだけである。

 したがって、引出線、参照線について確認する場合は、この規格がもととなる。

 

序文 省略

 

1. 適用範囲 この規格は、あらゆる種類の図面及び関連文書に含まれる引出線に関す

る規定だけでなく、引出線及び参照線並びにその構成要素についての一般条項を規定す

る。

  備考 対応国際規格につき省略

 

2. 引用規格 

  JIS規格及び備考2点、ISO規格1点省略

 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は、次による。

3.1 引出線Leader line)図示した形体を数値及び/又は指示事項(注記、技術的要

求事項、アイテム)とを結ぶ細い実線。

3.2 参照線Reference line)引出線につなぐ水平又は垂直な直線で、その上側又は

端に指示事項を表示するための細い実線。

 

4. 引出線の指示方法 引出線は、JIS z 8312  に従い、細い実線で描く。この線は、

関連する図や製図用紙の枠に対し、ある角度で描くのが望ましい。また、例えば、ハッ

チング線のような近くにある線に対して平行にしない。関連する図の線とのなす角度

は、15°  以上とするのがよい(図1図13参照)。

 引出線は、折り曲げてもよい(図5参照)。また、2本以上の引出線を一点にまとめ

てもよい(図2図5図7図8及び図11参照)。これらの線は、他の引出線、参照

線、図記号又は寸法数値のような指示と交差しないようにする。

 引出線が形体に接する先端は、次のようにする。

― 引出線が外形線又は部品のエッジ、平面に図示された配管又は配線、図表又は線図

  に結び付けられる場合には、開いた矢印、塗りつぶした矢印又は白抜きの矢印(頂

  角30°  )のいずれかを付ける。また、矢印は、引出線と他の線との交点、例えば、

  中心線との交点に結び付ける(図1図7参照)。

  備考 数本の平行線を明示しなければならない場合には、矢印の代わりに斜線の端

     末記号を用いてもよい(IEC  61082-1  参照)図8参照。

― 引出線を対象物の外形線の内側に結び付ける場合には、小さな黒丸(d=5×線の太

  さ)を付ける(図9~図11参照)。

― 引出線を寸法線と結び付ける場合には、端末記号はつけない(図12参照)。

— 引出線を中心線の交点と結び付ける場合には、矢印をつける(図13参照)。

  参考 ISO 128-22:1999 では、引出線を中心線の交点とを結び付ける場合には、端

     末記号をつけないと規定している。

 

 引出線を引く場合、ある程度の角度をつけたほうが他の線と区別しやすくなる。見

てわかりやすい図にするためにはこのような配慮が必要である。

 図12の例では引出線には端末記号をつけないが、矢印をつけているのを見かけるとき

がある。これは、古い規格で、矢印をつけていた時があったからであろう。

 またこの図12では参照線は記入されていない。寸法公差の記入方法や機械製図の例で

は参照線が使われており、この場合は引出線のみの説明のため省略したものと思われ

る。

 

 

5. 参照線の表し方 参照線は、JIS  Z  8312  に従って、細い実線で描く。参照線は、

それぞれの引出線につなぐ。参照線は、図面を読む方向に描く。

 参照線は、次に示すいずれかによって描く。

ー 一定の長さ、例えば、参照線の太さの20倍(図15及び図16参照)

ー 指示項目に合った長さ(図14図17図21及び図22参照)

 特別な指示をする場合(例えば、複数の引出線によって指示する場合)には、参照線

を用いなければならない(図15参照)。

 しかし、引出線が図面を読む方向に描かれている場合、指示事項が引出線と同じ方向

に書かれている場合(図18参照)及び参照線が適用できない場合(図12図19及び

20に描いた例を参照)には、参照線を省いてもよい。

 参考 ISO  128-22:1999  の図19は、引出線が水平に引き出されており、4.(引出線

の指示方法)に反するので変更した。

 

 参照線については、細かい規定がされているが、参照線は、省いてもよい場合は

省略した方が良いようである。

 前項の図12の例では、この項目では参照線が適用できない。寸法数値や、指示事項の

記入についてはこの規格では説明がないので、寸法公差の記入方法に従うことになる。

 

 

6. 指示事項の表し方 引出線により指示する事項は、次のように表示する。

― 参照線の上側(図14図17図21図22及び附属書A参照)

― 引出線又は参照線の後側(図16及び図18参照)

― 他の規格に従った図記号の周辺、内側又は後ろ側(図21図22及び附属書A参照)

 指示事項は、ISO  6428  に規定するマイクロフィルムに対する要求事項を考慮して、

参照線の上側又は下側に参照線の太さの約2倍の距離を空けて記入する。指示事項を参

照線上に記入してはならない。また、参照線に接しても行けない。

 

 異なった層(積層)及び組付けられた部品を1本の引出線で指示する場合には、指示

事項の順序は積層や部品の順序に合わせなければならない(図22参照)。

 

 

    附属書A(参考)他の規格に含まれている補助図記号

 この附属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。

  参考 省略

 

   附属書1(参考) JIS  と対応する国際規格との対比表

    対比表省略

 

   参考文献

    参考文献 8項目省略

 

 

 附属書Aで説明されているものは、引出線や参照線に関連するというより、溶接記

号や、幾何公差などを指示する場合に使用される独自の記号である。したがって、規格

自体も、参考となっている。特に気に掛けることではないであろう。そのため、表の内

容も後半はほとんど省略した。