JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

配管の簡略図示方法

  製図ー配管の簡略図示方法

 配管の簡略図示方法として、

 第1部:通則及び正投影図       B 0011-1

 第2部:等角投影図          B 0011-2

 第3部:換気系および配水系の末端装置 B 0011-3

 

 以上が規定されているが、機械製図において、配管を製図することはあまりなく、規

格自体もISO規格を翻訳したものであるので、要点だけを記載することにする。

 

   第1部:通則及び正投影図 

1 . 適用範囲 JIS B 0011のこの部は、全ての材料製のあらゆる種類の管及び配管

[剛体及び可とう(撓)体]を表すための簡略図の作成について規定する。

 管又は配管を簡略化された方法で図示しなければならないときには、この部による。

 この部では、図は本文だけを説明するものであって、設計例として考えないほうがよ

い。

  備考 この部は、換気装置又は空気調和装置のような類似の設備の図示に有用な場

     合がある。そのような時には”管”を”ダクト”などに置き換えるのがよい。

2.引用規格   省略

 

3.定義

3.1 正投影図  略

3.2 等角投影図 略

3.3 流れ線(flow  line)  入口若しくは出口の流れの流路、または物質、エネルギー

若しくはエネルギー媒体の流路を表したもの。

 

4.一般原則

4.1 管などの図示方法 管などを表す流れ線などは,(管の径には無関係に)管の中

心線に一致する位置に1本の太い実線(表1の線の種類A及びJIS Z 8312参照)で表

す。

 曲り部は、簡略化して流れ線を頂点までまっすぐに伸ばしてもよい(図1参照)。ただし、より明確にするために、図2に示す形で示してもよい。この場合に、曲り部の投

影がだ(楕)円で現れる場合であっても、これらの投影は、簡略化して円弧で描いてもよ

(図3参照)。

4.2 尺度 図面が一定の尺度で描かれている場合には、尺度は、JIS Z 8314によって指示する。

4.3 線

4.3.1 線の太さ 一般に、1種類の太さの線だけを用いる。ただし、2種類以上の

太さの線を用いなければならない場合には、線の太さは、JIS Z 8312から選択し、線

の太さの相対比a;b:cは、2:√2:1とする。異なる太さの線は、つぎのように用い

る(4.3.2も参照)。

ー 線の太さa:主流れ線

ー 線の太さb;二次流れ線、文字

ー 線の太さc;引出線、寸法線など

4.3.2 線の種類 表1に示す種類及び太さの線を用いる。

               表1(抜粋)

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4.3.3 線のすき間 略

4.4 文字 略

4.5 寸法記入 

4.5.1 一般に、寸法の記入は、JIS Z 8317による。呼び寸法は、短縮記号"DN"

を用いISO 3545によって指示してもよい(図1参照)。

 管の外径(d)及び肉厚(t)は、JIS Z 8317によって指示してもよい(図2参照)。必要

ならば、関連設備を含む管についての付加情報を記した部品表(ISO 7573参照)を図面

に追加してもよい。長さは、それが適切である場合にはいつも、管の末端部の外表面、

フランジ面又は継手の中心からとする。

   参考 管の呼び径について、配管に関する日本工業規格では、”A"又は”B"の記号

      を数字の後に付して区分しているものもある。また、”DN"は標準サイズ 

      (nominal size)を表す。

4.5.2 曲り部を持つ管は、一般に配管の中心線から中心線までの寸法を記入するの

が良い(図1及び図2参照)。

 管の外面の保護材の外側若しくは内側、又は管の表面の外側若しくは内側からの寸法

を明記する必要がある場合には、寸法補助線又は管を表す流れ線に平行に短い細い実線

を添え、その線に矢印を当てて寸法を指定してもよい(図3参照).

 外側から外側までの、内側から内側までの、及び内側から外側の頂点までの寸法をそ

れぞれ図3a)、3b)及び3c)に示す。

4.5.3 曲り部の半径及び角度は、図4に示すように指示してもよい。

 機能的な角度を指示する。ただし、一般に、90°は指示しない。

 

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4.5.4 

4.5.5 略

      図5~図8 略

4.6 寸法公差 寸法公差は、JIS Z 8318によって指示する。

5. 交差部及び接続部

5.1 接続していない交差部は、通常、陰に隠れた管を表す流れ線に切れ目をつけずに

交差させて描く(図9及びISO 4067-1参照)。ただし、ある管がもう1本の管の背後を

通らなければならないことを指示することが不可欠な場合には、陰に隠れた管を表す流

れ線に切れ目をつける(図10参照)。それぞれの切れ目の幅は、実線の太さの5倍以上と

する(図11参照)。

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5.2 永久結合部(溶接又は他の工法による。)は、JIS B 0125によって、目立つ大き

さの点で表す(図12参照)。点の直径は線の太さの5倍とする。

5.3 着脱式の結合部は、ISO 4067-1によって図示するのが良い¹⁾。

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( ¹⁾この部の対応国際規格の発行時点で将来、配管系に用いるほかの図記号のすべてを含むような、ISO 4067の増補が予想される。)

 

6. 装置の表示

6.1 一般 装置、機械類、バルブなどすべてのものは、流れ線と同じ太さの図記号を

用いて図示する(ISO 3461-2参照)。

6.2 管継手

6.2.1 ノズル、T、ベンドのような管継手は、流れ線と同じ太さの線で描くのが良

 い。

6.2.2 横断面を変えるための変換部品は、図13~15によって図示する。

 その呼び径は、記号の上部に指示する。

 

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6.3 支持装置及び(吊)り金具 

               図20 略

6.4 付帯装置 略

6.5 隣接装置 略

6.6 流れの方向 略

6.7 フランジ 略

              図21~図25 略

   

        附属書A(参考)  参考文献

        略

       附属書1(参考) 従来用いていた簡略図示方法

この附属書には、”ISOでは、現在、技術専門委員会で、配管系の表示に用いる簡略

図示記号の原案を作成中であり、将来、関連ISO規格の改正・増補が予想される。し

たがって、この附属書は、参考とし、今後はなるべく使用しないようにする” と記載

されている。

 規格が作成されるまでは、この附属書にもとずいて作図しなくてはならないことにな

るが、管継手の一般的なものである、ねじ込み式管継手などの図示記号が見当たらない

など、不明点があるので、この附属書の内容は省略します。

 

 第2部:等角投影図、第3部:換気系及び排水系の末端装置、も割愛します。

 

 頁中の4.5.1の参考にある、配管に関する日本工業規格とは、例えば、G 3448 

一般配管用ステンレス鋼鋼管、G 3452 配管用炭素鋼鋼管 などがある。

 

 呼び径は、規格では6A、8A、あるいは1/8B、1/4Bとなるのだが、現場ではまだ一分(ぶ)二分、の呼び方が通用している。

 

 管用ねじの呼びも同じことであるが、1/8は1/8インチのことで3.175mm。一分は尺貫

法で1寸の10分の1、約3.03mm。数値が似ているため、1/8インチを1分、1/4(2/8)イ

ンチを2分と呼び始めたらしい。

 

 勿論JIS規格にはない呼び方であり、規格にないことが通用しているよい例でもあ

る。それが延々と使い続けられているのは、玄人にしか通じない業界用語のようなもの

であるからであろうか。