製図ー転がり軸受
第一部:基本簡略図示方法
JIS B 0005-1
序文 この規格は、1989年に第1版として発行されたISO 8826-1, Technical drawings
-Rolling bearings-Part 1:Generl simplified representation を翻訳し、技術的内容及
び規格票の様式を変更することなく、作成した日本工業規格である。
製図の方法は、線を用いて一定の尺度で対象物を描くことである。簡略図示方法で
は、(時間及び労力を省くために)主要な形状である外形だけを表すのが望ましい。
簡略の程度は、図示する対象の種類、 製図の尺度及び書類作成の目的によって、基
本簡略図示方法(第1部)又は個別簡略図示方法(第2部)のいずれかを用いる。個別
簡略図示方法は、列数又は調心など転がり軸受をより詳細に示すものである(JIS B
0005-2参照)。
誤解を避けるために、一つの図面においては基本簡略図示方法又は個別簡略図示方法
のどちらか一つだけを用いる。
1.適用範囲 この規格は、転がり軸受の基本簡略図示方法について規定する。
この図示方法は、転がり軸受の正確な形状および詳細をを示す必要のないとき、例え
ば組立図中で用いる。
2.引用規格 次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の
規定の一部を構成する。これらの規格は、その最新版を適用する。
JIS Z 8316 製図における図形の表し方
備考 ISO 128:1982,Technical drawings-General principles of presentation
からの引用事項は、この規格の該当事項と同等である。
3.図示方法
3.1 線の種類 簡略図示方法によるすべての図形は、図面の外形線として用いられる
線と同一の線の太さで描く(線の形式 A形 JIS Z 8316参照)。
3.2 尺度 簡易図示方法の外形は、その図面に用いられる尺度と同じ尺度で描く。
3.3 基本簡略図示方法 一般的な目的(軸受の荷重特性又は形状を正確に示す必要が
ない場合)には、転がり軸受は、四角形及び四角形の中央に直立した十字で示す(図1
参照)。この十字は、外形線に接してはならない。
この図示方法は、軸受け中心軸に対して軸受けの片側又は両側を示す場合に用いる
(水平な軸受け中心線の場合は図3参照)。
転がり軸受の正確な外形寸法を示す必要があるときには、中央位置に直立した十字を
持つその断面を実際に近い形状で図示する(図2参照)。その十字は、外形線に接して
はならない。
特別な注意を必要とする転がり軸受の組立図では、その要求事項は、たとえば、文書
または仕様書で示す。
4.ハッチング 簡略図示方法については、ハッチングは施さないほうがよい。カタロ
グで詳細な表示または説明図などを必要とする場合には、転動体を除いて軸受けの部品
が同一のものであれば、図4のように同一方向の細い実線(B形 JIS B 8316参照)
でハッチングするのがよい。
軸受けの部品が異なるものであれば、異なる方向及び/又は異なる間隔でハッチング
してもよい。
転がり軸受は、部品図で描かれることはまずない。適用範囲に述べられているように
組立図中で描かれるが、型番等を指示すれば詳細を示す必要がなく、したがって、簡略
図示法で描くことになる。
単列深溝玉軸受のような単純なものならよいが、機構を理解してもらうには、詳細図
を描いたほうが親切であろうか。この場合には各々の軸受けの規格を参照して描くこと
になる。
転がり軸受の規格は、JIS B 1521 転がり軸受-深溝玉軸受 など多数ある。
ハッチングは、断面図の頁で述べたように機械製図一般の原則として、必ずしも施さ
なくてよいので、描く必要はない。
第2部:個別簡略図示方法
JIS B 0005-2
序文、1.適用範囲 2.引用規格 3.図示方法 4.図例とあるのだが、序文と、
適用範囲は内容が第1部と同じことなので割愛します。
引用規格は違っていますが、此処では省略して、図示方法から述べていきます。
3.図示方法
3.1 原則 図面上において転がり軸受が入る場所は、(内輪又は外輪のいずれか
がない場合でも)正方形又は長方形によって示す(JIS B 0005-1参照)。
3.2 個別簡略図示方法の要素 転がり軸受形体に関する個別簡略図字方法の要素を表
1に示す。
表1に基づいた軸受形体の組み合わせ例及び軸受の荷重特性を表2に示す。
軸受中心軸に対して直角に図示するときには、転動体は実際の形状(玉、ころ、針状
ころなど)及び寸法にかかわらず円で表示してもよい(図1参照)。
3.3 個別簡略図示方法 転がり軸受の個別簡略図字方法の例を表3~6に示す。
表3~5の軸受は、水平な軸受中心軸の上部を示しているが、表6の軸受は、鉛直な軸
受中心軸に関して示してある。
4.図例 図2~5に転がり軸受の個別簡略図示方法の例を示す。
参考 図2~3の簡略図示方法の例に示すシールの簡略図は、ISO 9222-2:1989によった。
表1 転がり軸受形態に関する個別簡略図字方法の要素
注(¹) この要素は、軸受けの形式によって傾いて示してもよい。
(²) 短い実線の代わりに、これらの形状を転動体として用いてもよい。
(³) 線の太さは、外形線と同じとする。
表2 個別簡略図示方法の要素の組み合わせ(抜粋)
備考 この表に示す転がり軸受は、すべて軸受けの中心軸の上側を示している。
表3 玉軸受及びころ軸受(抜粋)
注(¹) 参考図であり、詳細には示していない。
(²) 関連規格がある場合には、その番号を示す。
表4~表6 省略
図3~図5 省略
この規格は ISOの規格を翻訳して作成されたもので、おやと思うところがある。
3.1 原則 では、転がり軸受の入る場所は正方形又は長方形で示すとある。断面図
にした時のことなのであろうが、他の形状で示しようがないと思うのだが。
3.2 の転動体は、円で表示してもよい、も同様である。
シールについては、JISには簡略図示の規定がないようなので、参考で示されてい
るように、ISOの規格を参照するかだが、ISO規格を調べるのは簡単ではない。転
がり軸受と同様に、型番を指示しておけば事足りるので、わざわざ簡略図示にすること
もない。
シールについての規格は、オイルシール JIS B 2402-1~5 がある。
シールもばね入りなど各種あるので、規格を参照して概略図を描いたほうがわかりやす
い。しかし、外形と、特殊な図字方法の頁にある、平面部分を示す場合の細い実線で対
角線を描くことであらわしてしまうようなことも無いわけではない。
転がり軸受の製図の規格は、この簡略図示方法だけなので、以前に有った転がり軸受
の製図方法の1例を参考図で載せておく。本文にあるように転がり軸受は、詳細を示す
必要はないのであまり意味のないことではあるが。
転がり軸受(参考図)