JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図ー文字ー第5部:CAD用文字、数字および記号

       製図ー文字ー

   第5部:CAD用文字、数字および記号

       JIS Z 8313ー5

序文 前一部略、我が国特有の平仮名、片仮名及び漢字について、附属書1に規定し

た。以降省略。

1. 適用範囲 この規格は、製品技術情報(特に、図面)に用いられるCADD(Computer-aided design and droughting)用レタリングのための一般事項について規

定する。

 この規格には、数値制御によるレタリング及び描画技術を利用したCAD用レタリング

のアプリケーションのためのルールのほかに、基本原則が含まれる。

  備考 この規格の対応国際規格ー省略。

2. 引用規格 省略

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は、JIS  Z  83130  及び  ISO/TR  10623 

によるほか、次による。

3.1 比例形式配置(Proportional spacing arrangement)文字の幅に比例し、文字間

隔で並べられた図形文字の配置。

3.2 表形式配置(tabular spacing arreangement)文字の幅に関係なく、決められた

位置に一定の間隔で並べられた図形文字の配置。

4. 一般事項 CAD用文字に要求される一般事項は、JIS  Z  8313-0  による。

5. CAD用文字の必要事項

5.1   CAD用文字の書体は、次による。

      直立体(V)の書体CB:図1(標準)参照

   斜体(S)の書体CB:

   直立体(Ⅴ)の書体CA:図2参照

   斜体(S)の書体CA:

 CAD用文字の寸法は、表1による。

   備考 書体CAの文字の幅及び線の太さは、書体CBに対し( JIS  Z  8313-0 の 

      A形書体に近くなるように)係数\dfrac{1}{\sqrt{2}}を用いて狭めてもよい。

   参考 文字に用いる線分の端部の丸みは描き方の一つの例であって、任意の形で

      よい。

5.2 文字配置の形式は、次による。

   表形式配置(T) :図3参照

   比例形式配置(P):図4参照

5.3 図形文字集合のいかなる文字も、文字枠内に作成する。文字を構成する要素は、

格子システムによって位置が決まる。図形文字集合の文字は、次の事項を満たさなけれ

ばならない。

a) 寸法(図5及び図6参照)、形及び位置

b) 文字配置の形式(図3及び図4参照)

c) 文字枠内の位置決め点(図7参照)

  参考 対応国際規格のe₂の指示に誤りがあるので
     訂正してある。

6. 配置 各文字、字句の各行及び幾つかの行からなる字句の領域は、配置用の制御点

1点をもたなければならない。
 配置用の制御点の指示及び位置は、表2図7及び図8のように与える。

 数値が小数点付きで表される場合の配置は、少数点記号(⁶)を入れる。一例を図9

示す。

  (⁶) 省略

  参考 対応国際規格では、少数点記号は","となっているが、この規格では

". "とした。

 一つの領域の中の幾つかの行からなる字句は、左寄せ配置、中央配置又は右寄せ配置

のいずれかに設定する(図10参照)。このような一つの領域の字句を配置する制御点

の位置の例を図11に示す。

7. 呼び方 CADのための文字の形式は、JIS  Z  8313-0  に従って表示する。

  寸法 3.5 mm、直立体、比例スペース配置及びCBのローマ字の場合の図形文字

   集合は、次のように指示する。

   レタリング(⁷) JIS  Z  8313  (⁸)-CB PVL-3.5

  (⁷) 対応国際規格では、"Lettering"としている。

   (⁸) 対応国際規格では、"ISO 3098"としている。

8. 書体 表3~6の文字は、位置及び姿勢を一致させるために必要な仮想の格子の上

に表現されている。図12は、仮想の格子上に表現した文字の例である。

 表3~6の文字の表現の解釈は、次による。

) 斜線の前にある数字は、文字の種類を表す。

   001/・・・から100/・・・まで:大文字(表3参照)

   101/・・・から200/・・・まで:小文字(表4参照)

   201/・・・から300/・・・まで:数字(表5参照)

   301/・・・から400/・・・まで:記号(表6参照)

) 斜線の後に続く数字は、文字のダイヤクリティカルマークを表す。

   ・・・/00:ダイヤクリティカルマークなし   ・・・/10:長音符

   ・・・/01:抑音アクセント記号        ・・・/11:上付きドット

   ・・・/02:揚音記号             ・・・/12:シディラ

   ・・・/03:曲折音符             ・・・/13:斜線

   ・・・/04:スペイン語のnの上に付ける発音符 ・・・/14:短いハイフォン    

   ・・・/05:分音記号             ・・・/15:ストローク

   ・・・/06:上付き円環記号          ・・・/16:イータ

   ・・・/07:ダブル揚音符号          ・・・/17:Eの付いた二重発音文字

   ・・・/08:キャロン             ・・・/18:特殊文字

   ・・・/09:短音符

 

 表3 大文字 省略

 表4 小文字 省略

 表5 数字 省略

 表6 記号 省略

 

 図12 の例は、文字の表現で表すと、023/00  である。

 

            附属書1(規定) CAD用平仮名、片仮名及び漢字

1.1 附属書の適用範囲 JIS  Z  8313-10  に準じて、CADで用いる平仮名、片仮名及

び漢字(以下、文字という。)について規定する。

1.2 文字

1.2.1 漢字 漢字は、次による。

) 用いる漢字は、常用漢字表(昭和56年10月1日内閣告示第1号)によるとよい。た

   だし、16画以上の漢字はできる限り仮名書きとする。

) 漢字の例を附属書1図1に示す。

   備考 文字に用いる線分の端部の丸みは描き方の一つの例であって、任意の形で

      よい。仮名についても同様である。

1.2.2 仮名 仮名は、次による。

) 仮名は片仮名又は平仮名のいずれかを用い、一連の図面においては混用しない。

   ただし、外来語の表記に片仮名を用いることは混用とはみなさない。

) 片仮名の例を附属書1図2に、平仮名の例を附属書1図3に示す。

1.3 文字の大きさ

1.3.1 文字の高さ 文字の大きさは、基準枠(文字の外側輪郭が入る枠をいう)の

高さh₀ の呼びによって表す(附属書1図1参照)。漢字も仮名も基準枠の考え方は、

同じである。

   備考1. ローマ字、数字、記号と混用する場合の文字の高さh₀ は、読みやすく

       見栄えがよくなるように、本体表1のhと同じにするとよい。文字の高

       さが小さすぎて読みにくくなる場合には、hより大きくする。

     2. ローマ字、数字、記号と混用する場合には、ローマ字、数字、記号のベ

       ースラインと平仮名、片仮名、漢字のベースラインとは一致させる。

1.3.2 文字の大きさの呼び 文字の大きさの呼びの標準値は、附属書1表1によ

る。

  備考 文字の幅は、特に規定しないが、読みやすく見栄えがよい寸法[例えば、

    (8/10)h₀]とする。

 

 

     附属書2(参考) JIS  と対応する国際規格との対比表

         省略

 

 CADで文字を記入する場合、アプリケーションによって、どのような文字を入力で

きるかが違ってくる。普通は、ワープロで使われているフォントを、そのまま使えるよ

うにしてあるようで、製図者が  JIS  規格を意識することはないだろう。

 

 規格文中には、読みやすく見栄えが良い、という表現が出てくるが、これは多分に主

観的なものである。特に、見栄えがするという言葉については、これは感覚的なもので

あるので、製図者は、読みやすいということを念頭に置いておくべきである。

 読みやすいとは、読み間違えないとイコールであると理解しておいてよいと思う。

 例えば数字の1と7、アルファベットのaとギリシャ文字の α などである。CADで

書いた文字でも、コピーを繰り返した場合などで、読み間違いが出てくる可能性はあ

る。

 もし読み間違えられて苦情などが出た場合は、一番読み安い文字を選んでいますとす

れば、申し開き出来る。