製図ー姿勢及び位置の公差表示方式ー突出公差域
JIS B 0029
序文 省略
1. 適用範囲 この規格は、突出公差域の定義及びその表示方式について規定する。
備考1. この規格に定める方式は、JIS B 0021 の13.と同じである。
2. 省略
2. 引用規格 省略
3. 定義 この規格に用いる用語の定義は、JIS B 0021 による。
4. 突出公差域 突出公差域は、次のように図面に指示された形体の突出部に対して適
用する(図1参照)。
a) 記号Ⓟを、突出長さを表す数字の前に記入する。
b) 突出部を、細い二点鎖線で表す。
c) 記号Ⓟを、公差記入枠の公差値に続けて記入する。
附属書A(参考) 図示方法、解釈及び突出長さの表示例
A1. 図示及び解釈 附属書A図1に示すようなボルト3とねじ穴部品1とで、通し穴
部品2をねじ締結している場合を考える。部品1の図示及びその解釈をそれぞれ附属書
A図2a)及び附属書A図2b)に示す。
附属書A図3は、部品1のねじ穴における軸線位置の変動によって、ボルトをねじ穴
にねじ込めない事例を示す。このような干渉を防止するためには、次のような方法があ
る。
a) 附属書A図4に示すように部品2の穴径を大きくする。しかし、この方法は、ボ
ルト頭部の片当たり又はしんずれなどの機能に関する条件を満足しないと適切で
はない。
b) 部品1の公差を厳しくすることが考えられるが、部品のコストが増大する。
c) 付加的な公差を指示する。例えば、直角度公差を位置度公差よりも小さくする方
法が考えられるが、この場合も部品のコストが増大する。
d) 上記に代わるべきものとして、附属書A図5b)に示すように突出公差域を指示
してもよい[附属書A図5a)参照]。この場合の図示に対する解釈を、附属書
A図5c)に示す。
A.2 突出公差域の機能長さ 突出長さは、機能上必要な長さを意味し、Ⓟに続く数字
である(附属書A図6参照)。ねじ締結体のような形体については、突出長さは被締結
部品に許容される最大厚さに等しい。スタッドやダウエルピンのような形体において
は、突出長さはスタッドやダウエルピンの突出部分の最大高さに等しい。
※ 突出公差域とは、部品そのものに公差を指示するのではなく、組み付けられる部品
の公差を指示するものである。
コストの増大を抑えるためのものであるが、位置度公差方式と同様に、どのような測
定ができるか、どのように測定できるかがポイントとなる。測定器や測定装置にコスト
がかかってしまっては意味がない。
この表示方式も、位置度公差方式と同様に、特別な場合に適用するものと考えておい
てよい。規格文中の表現も、突出公差域を指示してもよい、となっている。むやみに突
出公差域を指示するのは、混乱のもととなる。
規格本文中にあるスタッドとダウエルピンはそれぞれ、植込みボルトとノックピンの
ことである。
ダウエルピンは JIS B 1355 がその規格であるが、呼び方としては今でもノックピン
のほうが一般的である。
スタッドは規格そのものが植込みボルトとなっており、スタッド(stud) という語
は、規格名称 植込みボルト の下に Studs と記されている(JIS B 1173参照)。
また、JIS B 0101 ねじ用語 でも参考としての対応英語として出ているだけであ
る。
規格で説明されていない語彙が規格文中に突然出てくるのは、批判ばかりの政党にか
かれば、いかがなものかとなる。
ついでながら、冬用タイヤでおなじみのスタッドレスタイヤのスタッドは、同じ英語
の stud であるが、日本語では、鋲 となる。