JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

寸法公差及びはめあいの方式ー第1部:公差,寸法差及びはめあいの基礎(続き)

    寸法公差及びはめあいの方式―

      第1部:公差,寸法差及びはめあいの基礎 

               (抜粋)

          JIS B 0401-1

 

 この項目は前ページからの続きで、序文、及び 1. 適用範囲 ~ 4.13 最小実

体寸法 までは前ページに記載。

 

5. 寸法公差、寸法許容差及びはめあいの表示と解釈

5.1 記号

5.1.1 公差等級 公差等級は、例えば、IT7のようにITという文字とそれに続

く数字によって指定する。公差等級が基礎となる寸法許容差を表す文字と結合して、公

差域クラスを形成している場合には、例えば、h7のようにITという文字を省略す

る。

     備考 この方式は全部で20の公差等級を規定しており、その中のIT1~I

T18が一般的に使用され、規格の本体に規定する。一般的には使用されないIT0~I

T01の等級は、情報として附属書Aに示す。

5.1.2 寸法許容差

5.1.2.1 公差域の位置 基準寸法の一つの関数である基準線に基づく公差域の位置

は、穴の場合には大文字(A...ZC)で、軸の場合には小文字(a...zc)で表す(

13及び図14)。

    備考 間違いを避けるために、次の文字は使用しない。

       I、i;L,l;O,o;Q,q;W,w

5.1.2.2 上の寸法許容差 上の寸法許容差は、穴の場合には "ES” 軸の場合には

"es” という文字で表す。

5.1.2.3 下の寸法許容差 下の寸法許容差は、穴の場合には "EI” 軸の場合には

"ei” という文字で表す。

5.2 表示

5.2.1 公差域クラス 公差域クラスは、基準となる寸法許容差を表す文字の後に公

差等級を表す数字を続けて表示する。

   H7(穴)

    h7  ( 軸)

5.2.2 公差付き寸法 公差付き寸法は、必要な公差域クラスの表示又は明確な寸法

許容差を基準寸法の後に続けて表示する。

  32H7

   80 js15

          100 g6

          100^{-0.012}_{-0.034}      
          

 注意  省略

 

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5.2.3 はめあい はまりあう形体の間のはめあいの要求事項は、次の表示をする。
) 共通の基準寸法

) 穴の公差域クラスの記号

) 軸の公差域クラスの記号

          52H7/g6  又は  \dfrac{H7}{g6}

5.3 公差付き寸法の解釈

 

5.3.1 JIS  B  0024  による公差指示 公差方式  JIS  B  0024  の注記のある図面によ

って製作した加工物の公差は、 5.3.1.1及び5.3.1.2で示すように解釈する。

5.3.1.1  寸法公差 寸法公差は、ある形体の局部実寸法(二点測定)だけを規制す

るものであり、その形状公差(例えば、円筒の真円度及び真直度、又は平行表面の平面

度)を規制するものではない、個々の形体の幾何学的相互関係は、寸法公差によって規

制されない(詳細については、ISO/R  1938  及び  JIS B 0024  を参照。)。

5.3.1.2 包絡の条件 組み合わされる部品(mating parts) 間にはめあいの機能を

もつ円筒又は平行二平面で構成される単独形体の寸法及び公差に記号Ⓔを付記して、図

面に指示される。これは、寸法及び形状の相互依存性を示し、最大実体寸法における形

体の完全形状の包絡面が侵害されないことが要求される(詳細については、ISO/R 

1938  及び  JIS B 0024  を参照。)。

    備考 (省略)

5.3.2  JIS  B  0024 によらない公差方式 公差方式 JIS  B  0024 の注記のない

図面に基づいて製作される加工物の公差は、規定された長さの範囲内において、次のよ

うに解釈する。

 穴の場合 表面の最高点にちょうど接するような穴に内接する完全な最大仮想円筒

  の直径は、最大許容寸法より小さくあってはいけない。穴の最大直径は、どのよう

  な位置でも最小実体許容寸法を超えてはならない。

) 軸の場合 表面の最高点にちょうど接するように軸に外接する完全な最小仮想円筒

  の直径は、最大実体許容寸法より小さくあってはいけない。軸の最小直径は、どの

  ような位置でも最少実態許容寸法を超えてはならない。

 )及び)で示した解釈は、ある加工物がどの位置でも最大実体寸法にある場合に

は、加工物は真円度及び真直、すなわち、完全円筒でなければならないという意味であ

る。

 特に指定がない限り、そして上記の要求を条件とすれば、完全円筒からの逸脱は規定

された直径公差の最大値に達しても差し支えない。詳細については、ISO/R  1938を参

照。

  備考 特別な場合に、)及び  b)に示した解釈によって許される最大の形状偏差

     が大き過ぎるために、組み立てられた部品が良好に機能しない場合がある。

     このような場合には、真円度及び/又は真直度の公差などの形状公差を別途

     指示するのが望ましい(JIS  B  0021を参照。)。

6. 図による説明 (省略)

7.  標準温度 寸法公差及びはめあいの方式の寸法を決定する温度は、2 0 °Cである(ISO 1を参照。)。

  参考 (省略)

8. 3150mmまでの基準寸法に対する基本公差

8.1 公差方式の基礎 基本公差の計算の基礎を附属書Aに示す。

8.2 公差等級(IT)の数値 IT1~IT18の等級の数値を表1に示す。これらの数値

は、公差方式を適用する際に正式なものとして取り扱う。

  備考 IT0~IT01の公差等級の数値を附属書Aに示す。

     

      表1 3150mmまでの基準寸法に対する公差等級ITの数値

            (表は省略)

9. 3150mmまでの基準寸法に対する基礎となる寸法許容差

9.1 軸の基礎となる寸法許容差

 [寸法許容差jsを除く(9.3を参照)。]

 軸の基礎となる寸法許容差及びそれぞれの符号(+又はー)を図17に示す。基礎とな

る寸法許容差の数値を表2に示す。

 上の寸法許容差(es)及び下の寸法許容差(ei)は、図17に示したような基礎となる寸法許

容差及び公差等級(IT)から決定される。

      表2 軸の場合の基礎となる寸法許容差の数値

            (表は省略)

      表3 穴の場合の基礎となる寸法許容差の数値

            (表は省略)

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9.2 穴の基礎となる寸法許容差

 [寸法許容差JSを除く(9.3を参照)。]

 穴の基礎となる寸法許容差及びそれぞれの符号(+又は-)を図18に示す。基礎とな

る寸法許容差の数値を表3に示す。

  上の寸法寸法許容差(EI)は、図18に示したような基礎となる

寸法許容差及び公差等級(IT)から決定される。

9.3 基礎となる寸法許容差js及びJS

 (図19を参照)

 9.1及び9.2で示した事項は、基準線を軸として公差等級が対照的な配分をするよ

うな寸法許容差js及びJSには適用しない。すなわち、jsの場合は、次のとおりである。

           |es|=|ei|=\dfrac{IT}{2}

  そしてJSの場合は、次のとおりである。

             |ES|=  |EI|=\dfrac{IT}{2}

9.4 基礎となる寸法許容差j及びJ 9.19.3で示した事項は、基準線を軸として

公差等級がほとんど非対称的な配分となるような基礎となる寸法許容差j及びJには適用

しない(JIS  B  0401-2、表8及び表24を参照。)。

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10. 参考文献 (省略)

 

 附属書A(規定) 寸法公差及びはめあいの方式の基礎

     省略

     表4~表7 省略   

 附属書B(規定) JIS  B  0401-1の使用例

     省略

 附属書C(参考) 同等用語

    省略

     附属書1(参考) 

    多く用いられるはめあいの表

   省略

   表1~2 省略

 

 この附属書は参考であるが、よく利用される。

この規格自体こまごまと多くの数値が規定されているが、実際に使用されるのは、多く

は、すきまばめであり、穴はH6~H9、軸は、h5~h9が用いられるのがほとんど

であろうか。

 

 このブログのタイトルは、「JISにらない機械製図 」であるが、この規格の本文中

に、JIS  B  0024  によらない公差方式,がでてくる。本文中にJISによらない、とい

文言があるとは全く承知していなかった。

 

 ではこの場合、JIS  B  0024  による場合とよらない場合何が違うのか。JIS  B  0024  を

参照することになるが、理解するのに困難なものである。

 

 この規格は、2016年に改訂され、名称自体、公差がサイズ公差、寸法差がサイズ差と

なるなど大幅に変更されている。

 JISによらない、という表現もなくなっているので、内容等も最新版で確認してく

ださい。