JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

線と文字


   線

 

 
 線の太さの基準は、0.13mm、0.18mm、0.25mm、0.35mm、0.5mm、0.7mm、1mm、・・・・・である。
 外形線に使われる太い実線と寸法線に使われる細い実線の線の太さの比率は2:1にする。同じ太さで描いてしまい印刷時に変換し忘れてそのままなのか、同じ太さのものがある。時間がないときは、寸法さえ間違いがなければと流してしまうと、ほかに問題がなければそのままになってしまう。見にくくわかりにくいので始めにしっかりと線の太さを指定しておいたほうが良い。

 その他に、二点鎖線、跳び破線などが規定されているが、機械製図ではほとんど使われない。線は線の用途によって下の表のように用いる。
 
   
   線の種類及び用途(抜粋)
 
       
  用途による  線の種類        線の用途
    名称    
  外形線 太い実線 対象物の見える部分の形状を表すのに用いる。
  寸法線   寸法記入に用いる。
  寸法補助線   寸法を記入するために図形から引き出すのに用
      いる。
  引出線(参照   記述・記号などを示すために引き出すのに用い
  線を含む) 細い実線 る。
  回転断面線   図形内にその部分の切り口を90°回転して表す
      野に用いる。
  中心線   図形に中心線を簡略化して表すのに用いる。
  水準面線   水面、液面などの位置を表すのに用いる。
  かくれ線 細い破線又は 対象物の見えない部分の形状を表すのに用いる。
    太い破線  
  ミシン目線 跳び破線 布、皮、シート材の縫い目を表すのに用いる。
  連結線 点線 制御機器の内部リンク、開閉器期の連結動作など
      を表すのに用いる。
  中心線   a)図形の中心を表すのに用いる。
      b)中心が移動する中心軌道を表すのに用いる。
  基準線 細い一点鎖線 特に位置決定のよりどころであることを明示す
      るのに用いる。
  ピッチ線   繰返し図形のピッチをとる基準を表すのに用い
      る。
  特殊指定線 太い一点鎖線 特殊な加工を施す部分など特別な要求事項を適
      用すべき範囲を表すのに用いる。
      a)隣接部分を参考に表すのに用いる。
      b)工具、ジグなどの位置を参考に示すのに用い
        る。
      c)可動部分を、移動中の特定の位置又は移動の
  想像線     限界の位置で表すのに用いる。
    細い二点鎖線 d)加工前又は加工後の形状を表すのに用いる。
      e)繰返しを示すのに用いる。
      f)図示された断面の手前にある部分を表すの
        に用いる。
  重心線   断面の重心を連ねた線を表すのに用いる。
  光軸線   レンズを通過する光軸を示す線を表すのに用い
      る。
    不規則な波型 対象物の一部を破った境界、又は一部を取り去っ
  破断線 の細い実線又 た境界を表すのに用いる。
    はジグザグ線  
    細い一点鎖線 断面図を描く場合、その断面位置を対応する図に
    で、端部及び 表すのに用いる。
  切断線 方向の変わる  
    部分を太くし  
    た線*  
    細い実線で、 図形の限定された特定の部分を他の部分と区別
  ハッチング 規則的に並べ するのに用いる。例えば、断面図の切り口を示す。
    たもの  
      a)外形線及びかくれ線の延長を表すのに用い
        る。
  特殊な用途の 細い実線 b)平面であることをX字状の2本の線で示すの
    に用いる。
      c)位置を明示又は説明するのに用いる。
    極太の実線 圧延鋼板、ガラスなど薄肉部の単線図示をするの
      に用いる。
 
注* 他の用途と混用のおそれがない場合には、端部及び方向の変わる部分を太
   
 
   い線にする必要はない。
   
 
 かくれ線などに使われるのは破線であり点線ではない。
 破線を呼ぶときに、つい点線と言ってしまうことがある。一般の人に説明するのに破線というよりは点線というほうが理解されやすいのでそれが習慣になって、ついそのまま使ってしまう。 点線も規定されているが機械製図の部品図では使われることはまずない。
 
 細い一点鎖線は、中心線に使われるが、簡略化して表す場合は、細い実線でよい。
細かいところは一点鎖線にする必要はないので、覚えておきたいことである。 
 
 線にかかわる項目のまえに、一般事項の中に線にかかわることが記されている。
一般事項のb)c)である。
b)線の太さ方向の中心は、線の理論上描くべき位置の上になければならない。

c) たがいに接近して描く線間の最小すき(隙)間は、平行線の場合には、最も太い線の太

   さの2倍以上とし、線と線のすきまは0.7mm以上とすることが望ましい。また、交差

   する線が密集する場合には、その線間の最小すき間を、最も太い線の太さの3倍以上と

   する。

 

  太い実線を0.25㎜とするとき、現尺で作図する場合、最も幅が狭いのは0.95㎜となる。

約1mmである。密集する場合はまた別になる。

 

  文字

 図面の中の文章に使われる仮名文字は以前は片仮名が多かった。鉛筆書きしていた時は力が入りやすくかけるため、コピーした時もにじんだりせず鮮明に見えるからであろう。
 現代はコピー技術も進化しており、コピーして不鮮明になるようなことはない。平仮名でも問題はない。

 漢字の場合も同様の理由からか16画以上の漢字はできる限り仮名書きとする、となっている。16画以上となると ”整” “機” “鋼” などが当てはまる。規定にもとずくと ”機械製図” は ”キ械製図“ ”鋼材” は“コウ材” となり キカイ(奇怪)なことになる。画数などを数えて書くことなどないのだから気にすることはない。この規定のコウザイ(功罪)はどんなもんであろうか。

 ついでながら ”A” “B” ”C” は、ローマ字あるいはラテン文字である。JISでは英文字という表現は使われない。正式にはラテン文字ということらしい。PCのキーなどは英字、英数文字となっているのに。

 図面中の文章は意外と読まれないものである。長々と書かれているものほどその傾向にある。もちろん、目を通さないことはないが加工中まで完全に理解されていることはない。加工中寸法を追っているときに文字は追わない。できるだけ図示して、図では充分に表せないもの、特に強調したいものにとどめておいたほうが良さそうである。