JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

矢示法、その他の投影法

  矢示法

 

 機械製図では、矢印を用いて様々な方向から見た投影図を任意の位置に配置できる。

 

 よく見かけるのは、”A矢視“ と記入してあるもの。矢印と大文字のラテン文字(前に述べた線と文字の項参照)でよいのだが、余計なものをつけてさらに矢示と矢視と誤用している。

 旧規格で矢視というのがあったらしく、それが延々と使い続けられているのだろうか。

 

 他にも、”Aより見る” ”A View“ あるいは目玉マークなどがあるが、いずれも規定にはなく間違いであるが、様々な方向から見た投影図ということなので、意味は通じる。さほど目くじらを立てることでもない。

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矢示法投影図の例

 

 

 文字の向きは投影の向きに関係なくすべて上向きである。文字は投影図の真下か真上のどちらかで、横には置かない。アンダーラインも不要である。間違いの例を下に示すが、間違いというより正しくないというべきか。

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正しくない矢示法投影図の例

 

 ついでながら、”矢示法゛は何と読むか。”やしほう” が一般的であろうが ”やじほう” という人もいる。

 手元にある国語辞典、漢和辞典には掲載されておらず、JIS規格の中にも読み方の規定はない。

 ″やしほう” であろうと ”やじほう” であろうと作られるものに変わりはないが、いらぬ混乱を避けるために読みを分かるようにしてもらいたいものである。

  と思っていたら、JIS B0001 8、投影法の8.1一般事項のなかに 矢示法(”やしほう”と読む。)との記載があった。どこで説明がされているか全く油断がならない。どうせなら矢示法の中にも書いておいてもらいたいものである。

 

 では、雲形定規はどうであろうか。 ”くもがた” か ”うんけい″ か。これは製図用語の、用語索引で【く】の項目にあるから ”くもがた” で間違いない。今や製図で使われることは少ないので雲形定規など知らない人が多いだろう。以前は劇画などで日本刀の曲線を雲形定規で書いていた。今は知らないが、意外なところでの使い方があるかもしれない。この項目には全く関係のない話であるが。

 

 
 

  その他の投影法

 

 立体図を描く必要がある場合には、等角投影、斜投影、透視投影などを用いて描く。実際にはそのような正確な投影図ではなく、見取り図が描かれる。見取り図は、かつてはフリーハンドでも描かれた。形状を素早く理解するための補助であるから正確なものはいらない。

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フリーハンドの見取り図