JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

図面の大きさ、および様式

 

  用紙のサイズ 

 原図には、必要とする明りょうさ及び細かさを保つことのできる最小の用紙を用いるのが良い。と規定されている。

規定されなくとも、FAXやメールで図面をやり取りすることが多い今は、先ずA4に収まるかどうかを考えるのが普通。少々無理でもA4にしておいたほうが後々面倒がない。むろん機械製図でも精密機器などの分野での話であるが。

 場合によっては一つのものを2枚の図面に描くという離れ業も使うことがある。

一枚目には正面図を描き、二枚目には側面図を描くというやり方である。一品多葉図面であるが部品図ではあまり見られない。一品一葉という固定観念があるからだろうか、離れ業というほどのことでもないが。

 

 

  図面の様式

  表題欄

 JIS Z8311製図ー製図用紙のサイズおよび図面の様式、では表題欄の位置は右下隅に来るようにするのが良い。と表記されているが機械製図B0001になると、その右下欄に表題欄を設け、とより厳密になっている。規定ではこのようになっているがと指摘されて、いやそうでない表現があったほずだがと探そうとするが、そういうときは見つからない。

 ~するのが良い、~が望ましい。と表現されているときは、ほかの項目で違っていることもあるので、~であると承知しておいたほうが良い。

 表題欄には、図面番号、図名、企業(団体)名、責任者の署名、図面作成年月日、尺度、投影法などを記入する。投影法は、第三角法によると決められている。ここでも製図ー投影法、では投影法を表示するための図記号は製図では必要ない、とあるが機械製図では投影法の記号を表題欄の中又はその付近に示す、とある。第一角法と第三角法の記号が決められており、ほとんどの図面には記入されている。記号は比率まで決められており、黄金比ではないがそれなりに検討された美しい図になっていると思う。この比がでたらめなものが見受けられるが、どうせ記入するならきちんとした図を記入してもらいたいものである。しかし決められているのにわざわざ第三角法で書いてますと記入する必要は全くない。必要でないものは省く、描かなくてもわかるものは描かない、とするコンセプトが製図にはあると思う。

第一角法記号       第三角法記号

 

 

米澤穂信のミステリーに登場する高校生主人公 折木奉太郎 のモットー 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」ということだが製図の場合手短にとはいかない。少なくとも加工者に計算をさせるような図面は書かないよう心掛けたいものである。

 

  輪郭及び輪郭線

 図面には輪郭を設け輪郭線を描く。図面がそのまま素手で扱われ切削油や研削液でよごれたり破損したりという時代はあった。図面ケースやクリヤファイルで図面を簡単に保護できる現代はこのことにあまりこだわらなくてもよいと思う。そのようなことがあってもすぐプリントアウトだってできるのだし。前に述べたようにできるだけA4に収めたいのに10ミリの幅は結構きつい時がある。

 

 

 

 

輪郭線、表題欄、中心マーク


 しかしながら輪郭線がないとしっかり描かれた図面でも仮図の領域を出ず、輪郭線があるとちゃちな図面でもきりっと引き締まった立派な図面になるから不思議である。

 

 

  中心マーク

 輪郭線がどの図面に入っているのに対し、中心マークが入っている図面はほとんど見たことがない。複写又はマイクロフィルム撮影の際の図面の位置決めに便利なように、中心マークをもうけなくてはならない、とあるが、マイクロフィルムで図面を管理しているという話は聞いたことがない。ごく一部のためにわざわざ必要もないものを設定することはない。無視してよいと思う。