このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま
す。
まず、JIS規格本文を掲載し、それについて解説やコメントがある場合、※を付け
てJIS規格とは違う観点からの考えを述べています。
製図―尺度
JIS Z 8314
序文 省略
1. 適用範囲 この規格は、あらゆる技術分野での製図に用いる推奨尺度及びその表し
方を規定する。
備考 この規格対応国際規格 省略
2. 定義
2.1 尺度(scale) "対象物の実際の長さ寸法"に対する"原図に示した対象物の
長さ寸法"の比。
備考 複写図の尺度は、原図の尺度とは異なるときがある。
2.2 現尺(full size) 1:1の尺度。
2.3 倍尺(enlargement scaie) 1:1より大きい尺度。
比が大きくなれば、"尺度が大きくなる"という。
2.4 縮尺(reduction scale) 尺度の比が1:1より小さい尺度。
比が小さくなれば、"尺度が小さくなる"という。
3. 尺度の表し方 尺度は、"尺度"の文字に続けてその比を、次のように示す。
現尺の場合 尺度1:1
倍尺の場合 尺度 ✕:1
縮尺の場合 尺度1:✕
もし、誤読のおそれがない場合には、"尺度"の文字を省いてもよい。
参考 原国際規格では、"尺度"を、"SCALE"又はその図面に用いる言語で同等
のものとしている。
4. 図面への尺度の表し方
4.1 図面に用いる尺度は、図面の表題欄に示す。
4.2 一枚の図面にいくつかの尺度を用いる必要がある場合には、主となる尺度だけを
表題欄に示し、そのほかのすべての尺度は、関係する部品の照合番号、又は詳細を示し
た図(又は、断面図)の照合文字の近くに示す。
5. 尺度
5.1 製図に用いる推奨尺度を表1に示す。
5.2 尺度は、描かれる対象物の複雑さ、及び表現に合うように選ぶ。
すべての場合において、描かれた情報を容易に、誤りなく理解できる大きさの尺度を
選ばなければならない。すなち、図面の大きさは、尺度と対象物の大きさとで決まる。
5.3 主な投影図の中の詳細部分が小さすぎて寸法を完全に示すことができない場合に
は、その部分を主な投影図の近くに部分拡大図(または断面)として示す。
6. 大きい尺度の図面 小さい対象物を大きい尺度で描いた場合には、参考として、現
尺の図を描き加えるのがよい。この場合には、現尺の図は、簡略化して対象物の輪郭だ
けを示したものでもよい。
附属書1(規定) 中間の尺度
1. 適用範囲 この付属書は、本体5.1 表1の備考のなお書きで推奨している中間の
尺度を規定する。
なお、この附属書で規定する中間の尺度は、原国際規格にはない。
2. 中間の尺度 推奨する中間の尺度を附属書表1に示す。
※ この、製図―尺度 の規格も、機械製図の 尺度 については以前の頁で紹介している。
この規格では、尺度は表題欄に示すとなっているが、機械製図ではもっと緩く、尺度の
表示は見誤るおそれがない場合には、記入しなくてもよい、としている。
その為かどうかはわからないが、尺度の表示は、〇:〇 と規定されているのに、今
以って 1/2 ゃ ×2 などの表示となっている。
昭和の時代の製図指導書では、尺度は、やで表示するとなっている。
なぜ変更されたのかは、国際規格に倣ってのことであろうが、〇:〇では倍尺か縮尺
かがわかりにくい。書く際にもどっちだったっけとなるので、間違いのないほうを選ん
でしまう。
些細なことなので重要視することではないが、表題欄にはほぼ、尺度の記入箇所があ
るようなので、尺度を記入しない場合は、横線をいれて記入漏れではないことを明確に
しておいた方が良い。
尺度を選ぶ場合は、対象物が図面サイズに対してできるだけ大きく描かれる方が良
く、規定の尺度にこだわる必要はない。規定の尺度は、あくまでも推奨値である。