JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

外形図の寸法の表し方、照合番号、図面の訂正・変更


  外形図の寸法の表し方

 

 外形図は、横方向、奥行き方向及び高さ方向の寸法並びに据え付け・取り付けに必要

な寸法を指示する。

 

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外形図の寸法の指示例

  機械製図における外形図は、たんに対象物の外形を描いたものではなく、据え付け、

取り付けの機能面を含む寸法までも指示しなくてはならない。寸法が入って外形図とな

る。

 外形図に似た言葉に外観図がある。外形図をより実物に近づけたものでデザインの分

野でよく使われる。

 建築の分野では、外形図が外観図とほとんど同じになるであろう。

 機械製図では今まで例図として示したものの中では、ローレット加工図が外観図にち

かいのではないであろうか。

 しかし、Z 8114 製図ー製図用語 で定義された外観図は ”梱包、輸送、据付け条

件を決定する際に必要となる対象物の外観形状、全体寸法、質量を示す図面。” であ

り、一般に思われている外観図とはニュアンスが違うものである。

 

 

  照合番号

 照合番号は、次による。

a) 照合番号は、通常、数字を用いる。

    組立図の中の部品に対して、別に製作図がある場合には、照合番号の代わりに

   その図面番号を記入してもよい。

b) 照合番号は、次のいずれかによるのがよい。

 1) 組み立ての順序に従う。

    2) 構成部品の重要度に従う。

      例 部分組立図、主要部品、小物部品、その他の順

    3) その他、根拠のある順序に従う。

c) 照合番号を図面に記入する方法は、次による。 

  1) 照合番号は、明確に区別できる文字を用いるか、文字を円で囲んで示す。

  2)    照合番号は、対象とする図形に引出線で結んで記入するのが良い。

  3) 画面を見やすくするために、照合番号を縦又は横に並べて記入することが望ま

     しい。

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照合番号の記入例

 照合番号は、いわゆる部品番号で、部番と略され使われるのが一般的である。

番号のつけ方は、部分的に組み立て順が入ったり、様々であるが、見やすいこと、分か

りやすいことが肝心である。図番を記入することは、スペースをとってしまうので、末

尾の数字だけが違うようなときは避けたほうが良い。

 明確に区別できる文字とは、アルファベットのことか。A,B,C,・・・と、順番

になる。数字と組み合わせてA1,A2・・・B1,B2・・・のように分けて記入す

ることもできる。

 

 

  図面の訂正・変更

 正式出図後に図面の内容を訂正・変更する場合には、訂正又は変更箇所に適切な記

号を付記し、訂正または変更前の図形,寸法などは判読できるように適切に保存する。

この場合、訂正または変更事由,氏名,年月日などを明記して図面管理部署へ届け出

る。

  注記 変更には、追加も含む。

 

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  図面の訂正・変更の記号は、規定されていないが例図のように三角形が多い。丸や四

角は他で使われているので、違うものにしておいたほうが良い。

 訂正または変更事由等を明記する場合は、表題欄の隣に訂正欄を設けて対処している

ことが多い。

 しかし、訂正する場合は担当者が訂正するだけで、図面管理部署に届けるというよう

なことはなされていないのではないか。まず管理部署そのものが存在していないのでは

ないか。存在しているとしても、名目だけで正しく機能していないのが実状ではない

だろうか。

 

 だとすると、いま日本国中に流通している図面のほとんどは、JIS規定違反の図

面である。

 

 

 今回で JIS B 0001 機械製図 の解説は終了です。

 次回からは、機械要素の、ねじ、歯車、などの製図について、解説していきます。