一般事項
一般事項は、次による。
a) 対象物の機能、制作、組み立てなどを考えて、図面に必要不可欠な寸法を明りょ
うに指示する。
機能、加工、組み立てなどを考えられないと寸法の記入はできないか。
図面を作成してから、どのように加工するのか検討することもあるのだが。
b) 対象物の大きさ、姿勢および位置などを最も明確に表すのに必要で十分な寸法を
記入する。
姿勢および位置を表す寸法とは何か、幾何公差の平行度、直角度、位置度などのことのようである。これは後述します。
c) 寸法は、寸法線、寸法補助線、寸法補助記号などを用いて、寸法数値によって示
す。
例外はあるようで寸法数値の代わりに文字記号を用いることができる。これも後述します。
d) 寸法は、なるべく主投影図に集中して指示する。
e) 図面には、特に明示しない限り、その図面に図示した対象物の仕上がり寸法を示
す。
注記 鋳造部品図では、最終機械加工図、鋳放し図、前加工図などがあり、そ
れぞれ最終仕上がり寸法、鋳放し寸法及び前加工寸法が指示される場合
がある。
注記は、規定ではなく説明になっている。このような場合は明示してわかるようにしておきなさいという例になるのだと思う。
f) 寸法は、なるべく計算して求める必要がないように記入する。
g) 加工または組み立ての際に、基準とする形体がある場合には、その形体を基にし
て寸法を記入する。
左側は基準からの寸法記入例そのものであるが、右側のように計算して求める必要がないことも考慮して記入するのが普通。
h) 寸法は、なるべく工程ごとに配列を分けて記入する。
上図の形状では工程ごとを特に意識しなくてもこの寸法の記入になると思うが。
i) 関連する寸法は、なるべく一か所にまとめて記入する。
1か所にまとめて記入するとは上図の点線で囲ったように位置を近くにすればよいのか。
j) 寸法は、重複記入を避ける。ただし、一品多葉図で、重複寸法を記入したほうが
図の理解を容易にする場合には、寸法の重複記入をしてもよい[例えば、重複す
る幾つかの寸法数値の前に黒丸を付け、重複寸法を意味する記号について図面に
注記する。
重複寸法は避けるようにするよりは、重要な寸法であったらむしろ、正面図だけでなく、側面図などにも入れておいたほうが良い。図面を読むとき寸法を捜す無駄が少しでも少なくなる。
k) 円弧の部分の寸法は、円弧が180° までは半径で表し[下図a)参照]、そ
れを超える場合には直径で表す[下図b)参照]。ただし、円弧が180° 以
内であっても、機能上または加工上、特に直径の寸法を必要とするものに対して
は、直径の寸法を記入する。
l) 機能上(互換性を含む。)必要な寸法には、JIS Z 8318(長さ寸法及び角度寸
法の許容限界の指示方法)によって寸法の許容限界を指示する。
許容限界、寸法公差については、これもまたその項目のところで説明します。
m) 寸法のうち、理論的に正しい寸法については寸法数値を長方形の枠で囲み、参考
寸法については寸法数値に括弧を付ける。
なお、参考寸法は、検証の対象としない。
理論的に正しい寸法についても、公差表示方式の項で述べることになると思います。
一般事項については別の項目で述べられることが多いようです。
寸法補助線
寸法補助線は、次による。
a) 寸法は、通常、寸法補助線を用いて寸法線を記入し、この上側に寸法数値を指示
する。ただし、寸法補助線を引き出すと図が紛らわしくなるときは、 これによら
なくてもよい。
b) 寸法補助線は、指示する寸法の端にあたる図形上の点又は線の中心を通り寸法線
に対して直角に引き、寸法線をわずかに超えるまで延長する。ただし、寸法補助
線と図形との間をわずかに離してもよいが、一葉図または多葉図で統一する。
図形と寸法補助線の間をわずかに離すのは、図形の輪郭を明瞭にしてわかりやすくするためだと思うが、その効果はどんなものか。
c) 寸法を指示する点又は線の位置を明確にするため、特に必要な場合には、寸法線
に対して適切な角度を持つ互いに平行な寸法補助線を引くことができる。この角
度は、なるべく60°がよい。
寸法補助線の角度は60°が良いとなっているが、寸法を入れる位置、幾何公差などにより変えて構わない。
d) 互いに傾斜する二つの面の間に丸みまたは面取りが施されているとき、二つの
間の交わる位置を示すには、丸み又は面取りを施す以前の形状を細い実線で表
し、その交点から寸法補助線を引き出す。
なお、この場合、交点を明確に示す必要があるときには、それぞれの線を互い
に交差させるか、または交点に黒丸を付ける。
これは通常a)の描き方をしていれば問題ない。特にb)c)の描き方をする必要はない。明確にするために、b)c)の例を使うこともあるが、わざわざ使っても、この描き方も知っていますというような嫌味になりかねない。