このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま
す。
以前の頁で、JIS規格の機械製図本文(JIS B 0001)を掲載し、それにつ
いて解説やコメントがある場合、※を付けてJIS規格とは違う観点からの考えを述べ
ましたが、この頁ではそれらをより詳しく説明しています。規格本文は、割愛しますの
で、本文を知りたい場合は、以前の頁を参照してください。、なお、項目の番号と名称
は、わかりやすくするために記載しています。
また 日本工業規格は、2019年7月1日の法改正で、日本産業規格に変わってい
ます。英語名は、Japanese Industrial StandardS で
変わっていません。略称の JIS も同じです。気づいたところは訂正しています
が、規格文章中に日本工業規格という語が出てきたら、日本産業規格と読み替えてくだ
さい。
機械製図
JIS B 0001
1 適用範囲
この規格は、JIS Z 8310 に基づき、機械工業の分野で使用する、主として部品図及
び組立図の製図について規定する。
JIS Z 8310 は、製図総則。製図総則は、工業分野で用いる図面を作成する場合の規
定であるから、この規格の適用範囲にある土木、建築、機械、電気の四つが製図の規定
上では工業の分野となる。
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は、JIS Z 8114 によるほか次による。
JIS Z 8114 は、製図-製図用語。なお、この項目の最新版では下記の注記が追加され
ている。
注記 長さに関わる[長さの単位(mm)をもつ]"寸法"には、"サイズ"及び
"距離"の2種類がある。この規格で使う前者の"サイズ"とは、サイズ形体
の大きさ、すなわち、円・円筒の直径、相対する平行二平面の幅などのことで
あり、サイズ公差による規制が可能である。後者の"距離"には、例えば、穴
の中心距離、段差の距離などがあり、幾何公差による規制が可能である。JIS B
0401-1 JIS B 0401-2 ISO14405-2 及び ISO 14405-3 を参照。
JIS B 0401-1 JIS B 0401-2 は、それぞれ、寸法公差及びはめあいの方式ー第1部:公
差、寸法差及びはめあい 同じく、第2部:穴及び軸の公差等級並びに寸法許容差の表
である。
この規格のところを見てもらえばわかるが、ここに詳しく規定されているので、注記
として追加した意味がないのではないか。
また、この項目は、JIS Z 8114 製図ー製図用語 の補足であると思われるが、製図
用語に組み入れればよく、別の項目で説明されている場合もあるのでこの規格で説明す
ることはないと思う。
なお、ここで説明されている以下の5項目は製図というより設計の範疇に入ることで
あり、図面作成で必要があればその項目のところで説明します。
3.1
最小二乗寸法
形体表面を測定して得た多くの測定点(データセットという。)を最小二乗法で演算
処理して得る寸法。
注記 最小二乗法については、JIS B 0672-1 を参照。
JIS B 0672-1 は、製品の幾何特性仕様(GPS)ー形体ー第一部:一般用語及び定義
であるが、この規格に最小二乗法は出ていない。本文中でなく解説の中にその言葉が出
てくるが何の説明もない。参照しようとしてこの規格を見ても全く意味がない。
最小二乗寸法は、こことは別に、この頁の 4.一般事項 f) 図5 最小二乗円 で示
される最小二乗円の直径であると説明されている。
最小二乗寸法は、真円度測定器などで測定する場合に使用されるものであり、普通の
製図における寸法記入には、ほとんど使用されない。
3.2
粗材寸法
鋳放し寸法、熱間圧延鋼板の板厚、磨き丸棒の直径など、対象物の最初の幾何形状を
示す寸法。
粗材は、一般的には素材のほうが使われる。JIS規格でも粗材という言葉が使われてい
るのはここだけであるが、素材は多くのところで使われている。
3.3
工具サイズ
ドリル径、リーマ径、フライスカッタ径、カッタ幅など、部品を加工するときの工具
のサイズを示す寸法(図1参照)。

例図の加工をする場合、使われるカッタは側フライス(サイドカッター)であろう。
側フライスは、現在JIS規格にはなく、似たような規格となると、超硬質合金ろう付
け側フライスとなる。この規格だと、外形Φ150のサイズはなくΦ160となってしまう。
実際には、側フライスは廃止された規格のものが製造されており、外形Φ150のほうがむ
しろ標準である。
このような場合があるので、工具サイズの指定は注意が必要である。工具メーカーの
カタログを参照したほうが良い。
3.4
角度サイズ
形体の実体の、二つの平面又は直線のなす角度寸法。
注記1 斜めに交差するような穴の軸線同士の角度は含まない。
注記2 角度に関わるサイズについては ISO 14405-3 を参照。
ISO 14405-3 は 幾何学的製品仕様(GPS)ー寸法公差ーパート3:角度サイズ。
ISO規格を参照しろと言われても簡単には見られない。対応 JIS 規格として JIS B 0420-
3 製品の幾何特性仕様(GPS)寸法の公差表示方式ー第3部:角度に関わるサイズ が
ある。こちらを参照したほうが良い。
3.5
コントロール半径、CR
直線部と半径曲線部との接続部が滑らかにつながり、最大許容半径と最小許容半径と
の間(二つの曲面に接する公差域)に半径が存在するように規制する半径(図2参
照)。
注記 CRは、control radius の略号である。

CRは寸法補助記号になっている。11.6 を参照してください。
コントロール半径も、11.6.2 半径の表し方 のh)に出ているので、そこで説明し
ておくだけでよいと思う。
4 一般事項
a) 図形の大きさと対象物の大きさとの間には、正しい比例関係を保つように描く。
ただし、読み誤るおそれがないと考えられる図面には、図の一部又は全部につい
て、この比例関係は保たなくてもよい。
注記 11.13 を参照。
11.13 は、非比例寸法。図形がその寸法数値に比例しない場合には、寸法数値に太い
実践の下線を引くことが規定されている。
この項目のただし書きは頭に入れておいた方が良い。どんな場合も杓子定規に正しい
比例関係で描かなくてもよいのだから。
b) 線の太さ方向の中心は、線の理論上描くべき位置の上になければならない(図3
参照)。
描くべき線の位置は図3に示されたようになるが、すき間が狭い場合には次の
c)の規定で、0.7mm以上の間隔をあける必要がある。
図面の見やすさからは、この間隔は守った方が良く、多少のことなら、描くべき線が
理論上の描くべき位置にならなくてもよい。前述の、正しい比例関係を保たなくてもよ
いというただし書きが適用される。
したがって、線の太さ方向の中心を、理論上の描くべき位置の上にするために、拡大
図等を使用して対処する必要はない。
c) 互いに隣接して描く線間の最小すき(隙)間は、平行線の場合には、最も太い線
の太さの2倍以上とし、線と線とのすき間は0.7mm以上とすることが望まし
い。また、交差する線が密集する場合には、その線間の最小すき間を最も太い線
の太さの3倍以上とする[図4a)参照]。
ここで言う最も太い線は、極太線ととらえる必要はない。通常の図面で使用する線は
太線と細線であるので、最も太い線は太線としてよいであろう。線の太さは、細線が
0.13 太線が 0.25 とするのが普通であるので、最小隙間は 0.5 、線と線の間隔は最小で
0.75 、望ましい隙間の場合は、線と線の間隔は 0.95 となる。
d) 多数の線が一点に集中する場合には、紛らわしくない限り、線間の最小すき間が
最も太い線の太さの約2倍になる位置で線を止め、点の周囲をあけるのがよい
[図4b)参照]。

e) 透明な材料で作られる対象物又は部分は、すべて不透明なものと仮定して投影図
を描く。
f) 大きさを表す寸法は、特に指示 ¹⁾ がない限り、その対象物の測定を二点測定によ
って行うものとして指示する。この場合、寸法公差は特に指示がない限り、その
形状を規制しない。
なお、寸法が最小二乗寸法 ²⁾ である場合には、JIS B 0672-1 を適用すること
を表題欄又はその付近に示す。
注 ¹⁾ 包絡の条件(JIS B 0024 参照)の適用を指示した場合など。
²⁾ 円形形体の場合、最小二乗寸法は図5に示す最小二乗円の直径である。

図5-最小二乗円
JIS B 0672-1 は前述のように、製品の幾何特性仕様(GPS)ー形体ー第一部:一般用
語及び定義 であり、この規格に最小二乗寸法は出てこない。
最小二乗寸法は、真円度測定器などで測定する場合に使用されるものであり、普通の
製図における寸法記入には使われない。
g) 寸法には、特別なもの(参考寸法、理論的に正確な寸法など。)を除いて、直接
又は一括して寸法の許容限界を指示する。
h) 機能上の要求、互換性、製作技術水準などに基づいて、不可欠の場合にだけ JIS
B 0021 又は JIS B 0419 によって幾何公差を指示する。
JIS B 0021 は、製品の特性仕様(GPS)ー幾何公差表示方式ー形状、姿勢、位置及び
振れの公差表示方式 である。JIS B 0419 は、普通公差ー第2部:個々に公差の指示が
ない形体に対する幾何公差 である。
i) 表面性状に関する指示を必要とする場合には、JIS B 0601 の定義に基づいて、
JIS B 0031 による。
JIS B 0601 は 製品の幾何特性仕様(GPS) ー表面性状:輪郭曲線方式-用語、定義
及び表面性状パラメータである。 JIS B 0031 は、製品の幾何特性仕様(GPS) ー表面
性状の図示方法である。
j) 溶接に関する要求事項を、溶接記号を用いて指示する場合には、JIS Z 3021 に
よる。
JIS Z 3021 は、溶接記号 である。
k) ねじ、ばねなど特殊な部分の図示方法は、別に定める日本産業規格による。
l) 製図に用いる記号として日本産業規格にに規定した記号をその規定に従って用い
る場合には一般的には、特別な注記を必要としない。また、特に製図に用いるも
のとして規定しないで、日本産業規格に規定した記号又は公知の規格に規定する
記号を用いる場合には、その規格番号を図面の適切な箇所に注記する。
なお、これらによらない記号を用いる場合には、その記号の意味を図面の適切
な箇所に注記する。
この頁の内容は、規格の冒頭部分であり、適用範囲や一般事項が述べられている。4
一般事項 a)の、 図形の大きさと対象物の大きさとの比例関係 以外は図面作成上、
特に注意しておく必要はない。
幾何公差、表面性状、溶接、ねじ、ばねなどについては、その項目の頁で説明してあ
るのでそちらを参照してください。