このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま
す。
以前の頁で、JIS規格の機械製図本文(JIS B 0001)を掲載し、それにつ
いて解説やコメントがある場合、※を付けてJIS規格とは違う観点からの考えを述べ
ましたが、この頁ではそれらをより詳しく説明しています。規格本文は、割愛しますの
で、本文を知りたい場合は、以前の頁を参照してください。、なお、項目の番号と名称
は、わかりやすくするために記載しています。
また 日本工業規格は、2019年7月1日の法改正で、日本産業規格に変わってい
ます。英語名は、Japanese Industrial StandardS で
変わっていません。略称の JIS も同じです。気づいたところは訂正しています
が、規格文章中に日本工業規格という語が出てきたら、日本産業規格と読み替えてくだ
さい。
機械製図
JIS B 0001
6 線
6.1 線の太さ
線の太さの基準は、0.13mm、0.18mm、0.25mm、0.35mm、0.5mm、0.7mm、1
mm、1.4mm 及び 2mmとする。
6.2 線の種類及び用途
線は、線の用途によって、表5のように用いる。ただし、細線、太線及び極太線の太
さの比率は、1:2:4とする。その他の線の種類は、JIS Z 8312 又は JIS Z 8321
によるのがよい。
なお、表5によらない線を用いた場合には、その線の用途を図面中に注記する。
JIS Z 8312 は 製図-表示の一般原則-線の基本原則 JIS Z 8321 は 製図ー表示
の一般原則ーCADに用いる線 である。
外形線に使われる太い実線と寸法線に使われる細い実線の線の太さの比率は2:1
にする。このブログの図で使用している線は、太い実線が 0.25 mm 細い実線が 0.13
mmである。通常の図面では、この太さを使用するのが見やすさの点から良いようであ
る。
同じ太さで描いてしまい印刷時に変換し忘れてそのままなのか、同じ太さのものがあ
る。時間がないときは、寸法さえ間違いがなければと流してしまうと、ほかに問題がな
ければそのままになってしまう。見にくくわかりにくいので始めにしっかりと線の太さ
を指定しておいたほうがよい。
その他に、二点鎖線、跳び破線などが規定されているが、機械製図ではほとんど使わ
れない。
かくれ線などに使われるのは破線であり点線ではない。
破線を呼ぶときに、つい点線と言ってしまうことがある。一般の人に説明するのに破
線というよりは点線というほうが理解されやすいのでそれが習慣になって、ついそのま
ま使ってしまう。 点線も規定されているが機械製図の部品図では使われることはまずな
い。
細い一点鎖線は、中心線に使われるが、簡略化して表す場合は、細い実線でよい。
細かいところは一点鎖線にする必要はないので、覚えておきたいことである。
この図において、照合番号4.4はピッチ線である。ところが JIS Z 8114 製図ー製図用語
の 番号 3124 ピッチ線 の定義にある図では、ピッチ線と示されているものはこれに垂直
に交わる線のほうであり間違っている。
図形の省略の頁に、ピッチ線と中心線の項があり、疑問の点があったので、日本産業
標準調査会のウエッブサイトに問い合わせをした。その時に併せてその図が、JIS B
0001 の図例6と違っていることを記載しておいた。それに対して、日本規格協会から
原案作成関係者の回答があり、この図に関しては、次回の改正で修正するとのことであった。
図例13 建築製図の図例なので省略
図例14 電気製図の図例なので省略
図6ー線の用途の図例
6.3 線の優先順位
図面で2種類以上の線が同じ場所に重なる場合には、次に示す順位に従って、優先する種類
の線で描く(図7参照)。
a) 外形線
b) かくれ線
c) 切断線
d) 中心線
e) 重心線(図6の図例6参照)
f) 寸法補助線(図93参照)
図93は、寸法記入方法(1)一般事項・寸法補助線 の頁参照。
優先順位により、望み通りの線種が選べない場合は、断面図を増やしたり、部分断面図を
使用したりして対処するのだが、これは製図者のセンスが出るところであり、スキルが問われ
るところである。
出来るだけ少ない図にしておくのが良いのだが、このことはあまりこだわらなくてよい。
図面に記入するのは、寸法補助線だけでなく、幾何公差や、表面性状がある。少ない図で
よいと思っても、後で、幾何公差や表面性状が記入できなくなってしまうことがある。そのた
めに図を少なくすることを考えるよりも、余裕があるようにしておいた方が良い。
次の図は、一般的な機械部品であるカラーである。
寸法公差だけを表示すのであればこの図だけで問題ない。実際にはこれに表面性状と幾何公
差が加わる。
これらを記入するのに正面図だけでは記入しにくいので、判断面だけにせず、正面図と断面
図の二つを描いて表面性状、幾何公差を記入するようにしておいた方が良い場合がある。
面取り部分も、特にこの部分を強調するのでなければ簡略化した 描き方で充分である。