JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

断面図(1)(改訂版) 一般事項、全断面図、片側断面図、部分断面図

        機械製図

        JIS B 0001



10.2 断面図

10.2.1 一般事項

 一般事項は次による。

) 隠れた部分をわかりやすく示すために、断面図として図示することができる。断

   面図の図形は、切断面を用いて対象物を仮に切断し、切断面の手前の部分を取り

   除き、10.1に従って描く。

) 切断したために理解を妨げるもの(例1参照)又は切断しても意味がないもの

  (例2参照)は、長手方向に切断しない(図32参照)。

    例1 リブ(例えば、 歯車の)、アーム。、歯車の歯

    例2 軸、ピン、ボルト、ナット、座金、小ねじ、リベット、キー、鋼球、

       円筒ころ

 

図32-切断しない例

 

 リブなどの場合でも、例えばねじ穴がある場合切断面にすることはある。この場合部分断面になることが多いが。

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リム部を断面にする場合

 ピンやボルト、ナットの場合でも小さいもので面取り部の詳細を描くと紛らわしくなる時は、断面として簡略化して描くことがある。

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)切断面の位置を指示する必要がある場合には、両端及び切断方向の変わる部分を太

  くした細い一点鎖線を用いて指示する。投影方向を指示する必要がある場合には、

  細い一点鎖線の両端に投影方向を示す矢印を描く。また、切断面を識別する必要が

  ある場合には、矢印によって投影方向を示し、ラテン文字の大文字などの記号によ

  って指示し、参照する断面の識別記号は矢印の端に記入する(図33参照)。断面の

  識別記号(例えば、A-A)は、断面図の直上または直下に示す(図33参照)。

図33ー断面の指示及びハッチングをずらした例

※ 投影方向を指示する場合はまずない。上図の場合逆向きの断面は反対側に描かれる

であろう。

 "A-A” の識別記号は寸法の記入のため真上に描かれることは少ない。側面に書か

れることが多いのではないか。必要があるとは言いがたいので記入することはない。

 

) 断面の切り口を示すために、ハッチングを施す場合には、切り口は次による。

 ) ハッチングは、細い実線で、主たる中心線に対して45°に施すのがよい。

 ) 断面図に材料などを表示するため、特殊なハッチングを施してもよい。その場

    合には、その意味を図面中にはっきりと指示するか、該当規格を引用して示

    す。

 ) 同じ切断面に現れる同一部品の切り口には、同一のハッチングを施す(図35

    び図37参照)、ただし、階段状の格段に現れる部分を区別する必要がある場合

    には、ハッチングをずらすことができる(図33参照)。

 ) 隣接する切り口のハッチングは、線の向き若しくは角度を変えるか、またはそ

    の間隔を変えて区別する(図34及び図35参照)。

 ) ハッチングを施す部分に文字、記号などを記入する必要がある場合には、ハッ

    チングを中断する(図34参照)。

 ) 切り口の面積が広い場合には、その外形線に沿って、適切な範囲にハッチング

    を施す(図35参照)。

 図34-線の向き及び中断したハッチングの例  図35ー外形線に沿った線の向き及び

                          間隔を変えたハッチングの例

 

 細かい指示がされているが、ハッチングを施す場合である。ハッチングは必ず施さ

なければならないものではない。できるなら避けるようにしたほうが無難である。

 

 

10.2.2 全断面図

 全断面図の表し方は、次による。

) 通常、対象物の基本的な形状を最もよく表すように切断面を決めて描く。この場

   合には、切断線は記入しない。

 

 全断面図の場合、切断線の両端を太くすることや、識別記号の記入は不要である。

 ご丁寧に両方を記入してあることがある。組み合わせによる断面図や多数の断面図による図示の場合と同じと思っているためか。

 

) 必要がある場合には、特定部分の形をよく表すように切断面を決めて描く。この

   場合、切断線によって切断位置を示す(図38参照)。

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図38ー切断位置を示す例

 

 この場合も全断面の例と同じである。切断線の両端は太くするが、識別記号の記入

は不要である。

 但し、線の種類及び用途の項目の表中の注記に ”他の用途と混用のおそれがない場

合には、端部及び方向の変わる部分を太い線にする必要はない” とあるので必ずしも

この限りではない。

 

10.2.3 片側断面図

 対称形の対象物は、外形図の半分と全断面図の半分とを組み合わせて表すことができ

る(図39参照)。

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図39ー片側断面図の例

 

 この場合も同じである。識別記号の記入は不要となる。  

 

10.2.4  部分断面図

 外形図において、必要とする要所の一部だけを部分断面図として表すことができる。

この場合、破断線によってその境界を示す(図40参照)。

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図40ー部分断面図の例

 これも同様である。識別記号は不要である。

 破断線は細い実線である。此処の項目では例図だけで説明はないが、前述の ”線の

種類及び用途”” で表中に記載されている。こういう説明は重複していて差し支えない

と思うのだが。