JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図ーねじ及びねじ部品ー第2部:ねじインサート 第3部:簡略図示方法

  製図ーねじ及びねじ部品ー第二部:ねじインサート 

       JIS B 0002-2

 

   図示

  ねじインサートの実形図示

 ねじインサートの実形図示(図省略)は、たとえば、カタログの中でのように、図解

のためだけに使用すべきで、製図には使用を避けるのがよい。

 

  通常図示

  ねじインサートは、通常は JIS B 0002-1 に基ずく通常図示で描く。

  ねじインサートの外側形状は、使用目的、材料、製造業者などによって非常に大きく

異なり、ねじのないものもあるが、すべて同じ方法で描く。例を付表1に示す。

 

  簡略図示

 簡略図示では、図面の種類、及び関連文書の目的によって、インサートの必要最小限

の特徴だけを示す。

 ねじインサートに対しては、可能な限り簡略図示を使用するのが良い。

 簡略化の原則を図に示す。インサートの簡略図示のための各種の例、及び簡略図示が

許される限度を付表1に示す。(図は省略)

 断面図では、ねじインサートの輪郭、(外側及び内側の山の頂)は、太い実線(JIS Z

8312による。)で示す。組み立てた状態のめねじの呼び径は、示さない。インサート自

体には、ハッチングを施さない(下図参照)。

 端面から見た図で、外側及び内側の山の頂は、太い実線による完全な円で示す。組み

立てた状態のねじの呼び径は、示さない(下図参照)。

 

   表示および寸法記入

ねじインサートは、該当する規格に定めるとおりに表示する。そのような規格が利用で

きない場合には、表示は、ねじの呼びdxP(そのねじのインサートを使用しようとする

ねじ)に、記号INS(インサートを表す。)を続けて表す。

   例  M30X1.5 INS

 例えば、1個のインサートが配置されているという、より総括的な記載で十分な場合

には、略号INSで指示をする(下図参照)。

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               付表1(抜粋)

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 ねじインサートは、規格本文にあるように、様々なものがあるが、図示方法は、ねじ

と同じである。

 表示は、当該する規格に定めるとおりとあるが、ねじインサートの規格は、この、製

図ーねじ及びねじ部品―第2部:ねじインサートだけである。

 また、JIS規格という技術文書に ”より総括的な” という表現が入っているのは面白

いのだが、具体的にどのような場合なのかは、わからない。

 ねじインサートの場合、加工工具もセットとなるので、INSを記入しておけばまず充分ではないか。

 

 

  製図-ねじ及びねじ部品ー第3部:簡略図示方法

       JIS B 0002-3

   

   簡略図示

  一般  簡略図示では、ねじ部品の必要最小限の特徴だけを示す。簡略化の程度

は、表す対象物の種類、図の尺度、及び関連文書の目的いかんによる。

 したがって、次の特徴は、ねじ部品の簡略図示では描かない。

   ― ナットおよび頭部の面取り部の角       ― ねじ先の形状

   ― 不完全ねじ部                ― 逃げ溝

 

  ねじ及びナット  ねじ頭の形状、ねじ回し用の穴などの形状、またはナットの形

状を示すことが不可欠である場合には、付表1に示す簡略図示の例を使用する。付表1

に示していない特徴の組み合わせを使用してもよい。反対側(ねじ側)端面の簡略図示は、必要でない。

 

  小径のねじ  次の場合には、図示及び/又は寸法指示を簡略にしてもよい。

   ― 直径(図面上の)が、6mm以下

   ― 規則的に並ぶ同じ形及び寸法の、穴又はねじ

 表示には、通常図示及び/又は寸法記入で、通常、示されるすべての必要な特徴を含

まなくてはならない(JIS B 0002-1ねじ部品の指示および寸法記入参照)。

 表示は、矢印が穴の中心線を指す引き出し線の上に示す(下図参照)。

 

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                          付表1

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 ここで言うねじとは、B 0101  ねじ用語 で規定されている、ねじ山を持った部品の

総称、つまり、ボルト、ナットなどのことと思われる。

 形状を示す必要がある場合は、簡略図示になる。付表1に示していない特徴の組み合

わせとは、例えば六角穴付き止めねじなどである。

 

 小径のねじの場合の、図示及び/又は寸法指示を、とは、図示及び寸法指示、図示又

は寸法指示、ということなのだろうが、日本語の文章に ” / ” を入れるのは有りなの

か。

 文章をスマートにしたいのはわかるが、技術的な文章で、言葉がダブるのはある程度

仕方のないことではないかと思う。

 

 簡略図示方法は規定されているが、普通の描き方は見当たらない。以前にあった六角

ボルト、ナットの書き方を参考に示しておく。

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六角ボルト、ナット(参考)