JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

機械製図 投影法 一般事項、投影図の名称、第三角法、第一角法(詳細版)

 このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま

す。 

 以前の頁で、JIS規格の機械製図本文(JIS  B  0001)を掲載し、それにつ

いて解説やコメントがある場合、を付けてJIS規格とは違う観点からの考えを述べ

ましたが、この頁ではそれらをより詳しく説明しています。規格本文は、割愛しますの

で、本文を知りたい場合は、以前の頁を参照してください。、なお、項目の番号と名称

は、わかりやすくするために記載しています。

 

 また 日本工業規格は、2019年7月1日の法改正で、日本産業規格に変わってい

ます。英語名は、Japanese Industrial StandardS で

変わっていません。略称の JIS も同じです。気づいたところは訂正しています

が、規格文章中に日本工業規格という語が出てきたら、日本産業規格と読み替えてくだ

さい。

 

        機械製図

        JIS B 0001

 

8 投影法

8.1 一般事項

 投影図は、第三角法による。ただし、紙面の都合などで、投影図を第三角法による正

しい配置に描けない場合、又は、図の一部を第三角法による位置に描くと、かえって図

形が理解しにくくなる場合には、第一角法又は相互の関係を8.5に示す矢示法("やし

ほう"と読む。)を用いてもよい( JIS  Z  8316  参照)。

 

 8.5 矢示法は、次頁の予定。  JIS  Z  8316  は、製図ー図形の表し方の原則 であ

る。

 

  投影法とは物体に光りを当てて影を映し出す手法のことである。

製図の分野では三次元の物体を二次元の平面上に表現する技術で、その他の分野では数

学や物理学はもちろんのこと、心理学でもその言葉は使用されている。

 空間を四つに区分けしたものを第一象限~第四象限とし、第一象限での投影を、第一

角法、第三象限での投影を第三角法という。 

 

8.2 投影図の名称

 図12に示す対象物の投影図の名称は、次による。

 正面図(主投影図)が選ばれる(10.1.1参照)と、関連する他の投影図は、正面図

及びそれらのなす角度が 90° 又は 90° の倍数になる(図12参照)。

8.3 第三角法

  第三角法は、正面図(a)を基準とし、他の投影図は次のように配置する(図13

照)。その場合には、図14に示す投影法の記号を表題欄の中又はその付近に示す。

 平面図(b)は、上側に置く。

 下面図(e)は、下側に置く。

 左側面図(c)は、左側に置く。

 右側面図(d)は、右側に置く。

 背面図(f)は、都合によって左側又は右側に置くことができる。

 三角法は、正面図に対して平面図は上側、下面図は下側、左側面図及び右側面図はそ

れぞれ左側及び右側であるが、先に述べたように、第三象限での投影が第三角法であ

り、第三象限での投影であるから平面図は上側になり、他の図も規定の配置になる。

 

8.4 第一角法

  第一角法は、正面図(a)を基準とし、他の投影図は次のように配置する(図15

照)。その場合には、図16に示す投影法の記号を表題欄又はその近くに示す。

 平面図(b)は、下側に置く。

 下面図(e)は、上側に置く。

 左側面図(c)は、右側に置く。

 右側面図(d)は、左側に置く。

 背面図(f)は、都合によって左側又は右側に置くことができる。

 第一角法も、第三角法と同じで、第一象限での投影が第一角法で、第一象限での投影

であるから規定の配置になる。

 

  第一角法、第三角法は説明されているが、第二角法、第四角法というのは無いので

あろうか。

第二、第四角法では投影面を回転させたときに図が重なり合ってしまうので使用されな

いと述べているものがあるが正確な表現ではない。重なり合うときは回転軸からの距離

を変えればよいのだから。

 第二、第四角法が使用されないのは、第一角法は投影面の前側に対象物が置かれ、第

三角法では投影面の後ろ側に対象物が置かれるのに対し、第二、第四角法ではこれが同

じ角法で前側と後側に置かれるため、はなはだ紛らわしくなるためである。

 このことはJISでは説明されていない。少しでも説明されていれば第一角法、第三

角法を理解するのに役立つのではないだろうか。

 

 

 

第一角法と第三角法

 

 第二象限で説明すると、正面図は投影面の後ろ側に対象物が置かれるが、平面図では

対象物の後ろ側が投影面になる。回転軸からの距離が等しい場合、正面図と平面図は重

なり合う。回転軸からの距離を変えた場合、正面図が平面図の上になることもあり下に

なることもある。

   

               第二象限での投影

 

   第一角法について一言

 第一角法は建築や船舶の分野でよく使用される。

                

  これは、例えば建築物で学校の教室を考えた場合、正面を教室の黒板側とすると、右側面は廊下側の壁、左側は校庭側の窓になる。                     

 つまり見たままそのままが正面図、右側面図、左側面図に現わされるわけである。        

  現わす図面の対象が、建築物のように内側から見たほうが理解しやすいことが多い場合、第一角法のほうが便利である。

                    

 常日頃、加工物を手に取って、ああでもないこうでもないと頭をひねっているものにとっては、まさにコペルニクス的転回である。