JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図ー製図用紙のサイズ及び図面の様式

    製図ー製図用紙のサイズ及び図面の様式

    Technical drawings-Sizes and layout of drawing sheets

 

         JIS  Z 8311

 

 この規格は、工業分野での製図についての規定である。

 機械製図に関しては、分野別の規格が JIS  B  0001 に機械製図として規定されてお

り、これについては以前のページで説明しているので、そちらも参照してください。

 規格そのものが、ほぼ同じ内容であるのコメント等も重複しています。

 赤い印が規格文でないコメント等になります。

 

序文 この規格は、1980年に第1版として発行された ISO 5457 を翻訳し、技術的内容

及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

 なお、この規格で、点線の下線を施してある箇所は、原国際規格にはない事項であ

る。また、原国際規格にないが、標準的な図面の折り方を附属書(参考)として示した。

 この規格は、マイクロフィルム撮影、自動裁断などの最近の手法はもとより、図面の

複写及び取扱いの従来の手法にも応じられるように作成されている。

   備考 この規格では、図は、説明のためだけのものである。図は、原則だけを示

      すために単純化している。また、図は、比例尺でない。

 

  点線の下線は、省略します。

  序文は省略することが多いが、序文にこの規格は国際規格を翻訳したものであると

 明記されており、そのため、規格の文章にところによりおかしな表現が散見される。

  この頁には特に取り上げるところはないが、いずれ出てくることがあろうかと思わ

 れるので、掲載しておいた。

 

1. 適用範囲 この規格は、すべての工業分野の図面に使用する白紙、及び印刷された

製図用紙のサイズを規定する。

 この規格は、また、図面の様式について、次の事項を規定する。

) 表題欄の位置及び寸法 ¹)

) 輪郭及び輪郭線

) 中心マーク

) 方向マーク

) 比較目盛

) 図面の区域表示方式

) 裁断マーク

 一般に、この規格は、原図に適用するが、第1章の規定は複写図にも適用する。

  備考 この規格の対応国際規格・・・省略

  ¹) この規格は、図面の理解に必要な指示事項の位置を決めた表題欄の完全な様式

     を規定するものでないことに注意するのが良い。

2. 引用規格 次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の一

部を構成する。これらの引用規格は、その最新版を適用する。

  JIS  Z  8312  製図に用いる線  

  備考 省略

  JIS  P  0138  紙加工仕上寸法

  備考 省略

  JIS  Z  8313-1  製図ー文字ー第1部:ローマ字、数字及び記号

  備考 省略

 

          第1章 用紙のサイズ及び寸法許容差

3. 用紙のサイズの選び方・呼び方 原図には、必要とする明りょうさ及び細かさを保

つことができる最小の用紙を用いるのが良い。

 原図及びその複写図のサイズは、3.1,3.2及び3.3に示すシリーズから、この順に

選ぶ。

 製図用紙は、長辺を横方向(図1及び図4参照)、又は縦方向(図2及び図3参照)

のいずれにしてもよい。

3.1 A列サイズ第1優先) 裁断された用紙の第1優先サイズを、表1に示す。こ

れは JIS  P  0138  に規定するA列から選んだものである。

   参考 省略

3.2 特別延長サイズ第2優先) 特に長い用紙が必要な場合には、表2に示すサイ

ズの用紙を用いるのがよい。

 これらのサイズは、それぞれの基礎であるA列の判の短辺(表1参照)を正数倍した

長さに延長して長辺とすることによって得られる。

 正数倍は整数倍の誤りであると思われる。

3.3 例外延長サイズ第3優先) 非常に大きな用紙、又は例外的に延長した用紙が

必要な場合には、表3に示すサイズの用紙を用いるのがよい。

 これらのサイズは、それぞれの基礎であるA列の判の短辺(表1参照)を正数倍した

長さに延長して長辺とすることによって得られる。

                          ¹)このサイズは、A列の2A0に

                             等しい。 

                           ²)このサイズは、取り扱い上の

                             理由で使用を推奨できない。

4. 寸法の許容差 裁断された用紙の寸法許容差は、JIS  P  0138  による。

   参考 省略

 

 用紙のサイズは、図面を作成するときは、特に規定されなくても最小のサイズにお

さまるかをまず検討する。A4サイズが基本となる。

 第2、第3優先のサイズは、土木、建築の分野で使用されるものであろうか。機械製

図ではまず使用することはないであろう。機械製図の規格でも、表が掲載されている

が、この規格のような詳しい説明はされていない。

 

          第2章 図面の様式

5. 表題欄

5.1 表題欄の位置 表題欄の位置は、表題欄の図面を特定する事項(図面番号、図

名、作成元など)を記入する部分が、用紙の長辺を横方向にしたX形(図1参照)、又

は長辺を縦方向にしたY形(図2参照)のいずれにおいても、図を描く領域(6.参照)

内の右下隅に来るようにするのがよい。

 表題欄を見る向きは、通常、図面の向きに一致するようにするのがよい。

 ただし、印刷された製図用紙では、用紙の節約のために、X形用紙を縦に(図3

照)、Y形用紙を横に(図4参照)用いてもよい。

 この場合には、表題欄の図面を特定する事項の部分は図面の右上隅となり、表題欄を

右側から見て読める向きになる。

 便宜上、図面番号は、他の場所に追加記入してもよい(7.参照)。

5.2 寸法 表題欄の図面を特定する事項の部分は、その部分を正常な向きから見たと

きに表題欄の右下隅にあり、かつ、その長さが 170 mm以下でなければならない。

 

 表題欄を設けなくてはならないことや、その位置まで規定されているが、記入する

事項については規定されていない。そのため、その内容は、企業、工場などによりばら

ばらである。ある程度の指針のようなものが示されていた方が親切であると思う。

 

6. 輪郭及び輪郭線

6.1 輪郭 裁断された用紙の縁と、図を描く領域を限定する枠とによって囲まれた輪

郭は、すべてのサイズの図面に設けなければならない。

 これらの輪郭の幅は、A0及びA1サイズに対して最小 20 mm、A2、A3及びA4サ

イズに対して最小 10 mmであることが望ましい(図5参照)。

 ほとんどの場合に、この値は複写の際のつかみ代として十分であり、複写機によって

は、A0及びA1サイズに対して 10 mmまで、A4サイズに対して 7 mmまで狭められ

る。

6.2 とじ代 穴あけのためのとじ代を設けてもよい。

 このとじ代は、最小幅 20 mm(輪郭を含む。)で、表題欄から最も離れた左の端に置

く。

6.3 輪郭線 図を描く領域を限定するための輪郭線は、最小 0.5 mmの太さの実線で

描くのがよい。0.5 mm以外の太さの線を用いる場合には、線の太さは、JIS Z 8312 によ

る。

  参考 省略

 

 輪郭は、図面の損傷、複写時の位置ずれ等を配慮してのものであろうが、現代では

その心配は、ほとんど無用であるので、A4サイズの場合、1~2mmであっても問題な

いと思う。図を描くスペースを多くとっておくようにしておいた方が良い。

 とじ代も今は、図面を綴じておくことはないので、設ける必要はない。

 

 

7. 中心マーク 複写又はマイクロフィルム撮影の際の図面の位置決めに便利なよう

に、第1及び第2優先のサイズのすべての図面に、4個の中心マークを設けなくてはな

らない。

 中心マークは、裁断された用紙の2本の対称軸線の両端に、用紙の端から輪郭線の内

側約5mmまで、最小 0.5 mmの太さの直線をを用いて施す。中心マークのの位置の許容

差は、± 0.5 mmとするのがよい(図6参照)。

 第3優先のサイズの図面には、1こま(駒)でマイクロフィルム撮影するためには大

き過ぎるので、図面の長辺上で、マイクロフィルム撮影する各分割画面の中心位置に中

心マークを追加する必要がある。分割画面からの図面の復元を容易にするために、分割

するこま(駒)の数は、分割画面に十分な重なりを生じるように選ぶのがよい。図面番

号は各分割画面に現れるようにし、必要に応じて、分割画面の番号をその後ろに続け

る。

 

 マイクロフィルム撮影も、機械製図の場合、要求されることはまずないので、その

ために中心マークを設ける必要などない。

 

8. 方向マーク 製図板上の製図用紙の向きを示すために、2個の方向マークを設けて

もよい。

 方向マークには矢印を用い(図7参照)、製図用紙の一つの長辺側に1個、一つの短

辺側に1個、をそれぞれの中心マークに一致させて、輪郭線を横切って置くのがよい。

方向マークの一つが、常に製図者を指すようにする(図811参照)。


9. 比較目盛 すべての図面上に、長さが最小 100 mmで、10 mm間隔に目盛りをし

た、数字の記載がない比較目盛を設けることが望ましい(図12参照)。

 比較目盛は、輪郭内で輪郭線に近く、なるべく中心マークに対称に、幅は最大 5 mm

にして配置する。また、目盛の線は、太さが最小 0.5 mmの直線とする。

 二つ以上の分割画面でマイクロフィルム撮影すると考えられる図面では、各分割画面

に比較目盛りを配置する(7.参照)。

10. 格子参照方式 詳細図の部分、追記、修正などの、図面上の場所を容易に示すた

めに、すべてのサイズの図面に格子参照方式を設けることが望ましい。

 分割の数は、偶数とし図面の複雑さに応じて選ぶのがよい。格子を形成する長方形の

各辺の長さは、25 mm~75 mmにするのがよい。

 格子参照方式の線は、太さが最小 0.5 の実線とする。

 格子の長方形は、用紙の一つの辺に沿ってローマ字の大文字、他の辺に沿って数字を

用いて参照するのがよい。記入する文字・数字の順番は、表題欄の反対側の隅から始ま

るようにし、対辺にも同じ記入をする。

 文字及び数字は、輪郭の中に、裁断された用紙の縁から最小 5 mm開けて輪郭線の近

くに、JIS  Z  8323-1に規定する直立体のローマ字・数字で記入する(図13参照)。

 文字記入の区域の数がアルファベットの数を超える場合には、越えた部分の参照文字

は二重文字とするのがよい(AA,BB,CCなど)。

11. 裁断マーク 複写図の裁断に便利なように、裁断された用紙の4隅の輪郭内に裁

断マークをつけてもよい。

 裁断マークは、2辺の長さが約 10 mmの直角二等辺三角形にしてもよい(図14

照)。

 しかし、多くの自動裁断機では三角形では不都合が生じるかもしれないので、その場

合には、マークは、太さ 2mmの2本の短い直線にするのがよい(図15参照)。

 方向マーク、比較マーク、格子参照方式、裁断マークは、設けてもよい、望まし

い、つけてもよいなどの表現であるので、すべて設ける必要はない。

 

12. 印刷された製図用紙 印刷された製図用紙には、すべての場合に次の事項が示さ

れているのがよい。

 ― 表題欄

 ― 図を描く領域を限定する輪郭線

 ― 中心マーク

 次の事項は、任意である。

 ― 方向マーク

 ― 比較目盛

 ― 格子参照方式

 — 裁断マーク

 製図用紙は、透明、半透明、不透明のいずれでもよいが、表面はつや消しされたもの

が望ましい。

 印刷は、表面又は裏面(透明又は不透明の用紙)のいずれでもよい。

 

 

        附属書(参考) 図面の折り方

 この附属書(参考)は、本体に関連する事項を補足するもので、規定の一部ではな

い。

 規定の一部ではないので省略します。

 

 

 機械製図の頁でも述べたが、JIS規格には、~した方が良い、~が望ましい、の表現

が多くみられる。そのように思っていると、別の詳細な規格になると、~とする、~す

べき、などと断言されていることがある。

 方向マーク、比較マーク、格子参照方式、裁断マークについては、機械製図ではこれ

らは、JIS  Z  8311 によるとなっているのでそのままの解釈でよい。

 したがって、前に述べた通りこれらは図面に設ける必要のない事項である。