JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

製図―文字―第0部:通則

      製図―文字―第0部:通則

         JIS Z 8313-0

序文 省略

 

1. 適用範囲 JIS  Z  8313 群のこの部は、他の部で定める製品技術文書(とくに、製

図)で用いる文字についての一般事項を規定する。

 この部は、次の方法によるレタリングに適用する。

) 手書き方式

) テンプレート( ISO  9178 参照)及び手動レタリング器具

) 転写方式

) 数値制御レタリング及び製図方式

  備考 この規格の対応国際規格 省略

2. 引用規格 省略

3. 定義 この部で用いる主な用語の定義は、次による。

3.1 中央線central line) 図形文字集合を構成している線又は線要素の幅の中央

を示す仮想の線。

  備考1. 線は  ISO  9175-1  及び ISO  9175-2  による管状ペンを用いて書いてもよ

      い。

    2. 中央線は、テンプレート用彫刻工具、レタリング用のプログラムなど、文

      字を書くための工具奇跡設計の基礎とする基準である。

3.2 図形文字集合graphic character set) ある種のアルファベット、数字、ダイ

ヤクリティカルマーク、句読点及びその他の記号からなり、所定の目的を満たす定めら

れた書体の相異なる完結した有限集合( JIS  X  0004  参照)。

3.3 レタリングlettering

)  (図形表現に加えて)図形文字集合から選択された文字を図面上に書く手順。

)  (文章、指示、寸法など)図面上のすべての非図形情報。

) 図面に非図形情報を書くために用いることができる図形文字集合のすべての図形

   文字。

4. 一般事項 文字に要求される基本的な事項を4.14.3に示す。

4.1 読みやすくするために、文字間のすき間はレタリングに用いる線の太さの2倍と

する。

 例えば、LA、TV、Tr  のような特定の文字の組み合わせ(記号)で視覚的に十分

判読可能な場合には、文字間のすき間は、文字の線の太さの1本分に縮めてもよい。

4.2 ジアゾコピー、マイクロフィルム、テレファックスなどの一般に使われる複写処

理に適している。

4.3 数値制御製図機械に適している。

5. 文字の大きさ

5.1 大きさの呼び 文字の大きさの呼びは、大文字(頭文字)の外側輪郭の高さ

(h)によって定める(図1表1及び表2参照)。

 ローマ字のアルファベット(記号L)に適用される図1図3の大きさは、ロシア

文字及びギリシャ文字のアルファベット(それぞれ記号C及びG)にも適用する。

5.2 中央線の位置 中央線を定める基準は、文字の大きさの呼び(h)及び文字間の

すき間(a)である(図4図5参照)。

他の寸法は、表1及び表2による。

           h₁=h-d

           a₁=a +d

 CADによって文字を書く場合( ISO  3098-5 参照)にもこれと同じ大きさの文字を用

いる。

5.3 文字の大きさの呼びの種類 文字の大きさの呼びは、次による。

  1.8mm、2.5mm、3.5mm、5 mm、7 mm、10 mm、14 mm、20 mm

 文字の高さで採用している\sqrt{2}の比率は、用紙サイズの標準数列(JIS  P 

0138参照)から来ている。

 文字の線の太さは  ISO 128-20  に従い、かつ、大文字及び小文字の両方とも同じ太

さにする。

5.4 斜体文字の角度 文字は、図1に示す直立体でも、水平方向に対して右方向

に75° 傾いた斜体(図6参照)でもよい。

5.5 書体 書体は、次による。

          表1 A形書体の寸法
                                  単位 mm

 

          表2 B形書体の寸法

                                  単位 mm


5.6 字句に付けるアンダライン又はオーバライン 字句又は字句の範囲に付けるアン

ダライン又はオーバラインは、小文字の尾部(図7参照)又は大文字若しくは小文字に

ダイヤクリティカルマーク(例えば、シディラ、ティルダ、ウムラウト図8参照)が

ある場合には、中断するのがよい。これができない場合には、ベースラインのピッチを

広げる。

6. 呼び方

6.1 A形書体及びB形書体の呼び方は、次に示す項目とし、その順による。

) "レタリング"

) "JIS  Z  8313"**

) 書体の種類("A"又は"B")

) 文字の傾き("V"又は"S")

) アルファベットの種類("L"、"G"又は"C")

) mm単位の文字の大きさの呼び 

   * 原国際規格では、"Lettering"としている。

    ** 原国際規格では、"ISO  3098"としている。

    B形直立体、ローマ字、文字の大きさの呼び5mmの場合の図形文字集合

     は、次のような呼び方にする。

        レタリング JIS  Z  8313-BVL-5

     A形斜体、ギリシャ文字、文字の大きさの呼び 3.5 mmの場合

        レタリング JIS  Z  8313-ASG-3.5

     B形斜体、ロシア文字、文字の大きさの呼び 1.8 mmの場合

        レタリング JIS  Z  8313-BSC-1.8

6.2 CA形書体及びCB形書体の呼び方は、次に示す項目とし、その順による。

) "レタリング"

) "JIS  Z  8313"

) 書体の種類("CA"又は"CB")

) スペース配置[表形式(T)又は比例形式(P)]

) 文字の傾き("V"又は"S")

) アルファベットの種類("L"、"G"又は"C")

) mm単位の文字の大きさの呼び

    CB形斜体、表形式スペース配置、ローマ字、文字の大きさの呼び 2.5 mm

     の場合の図形文字集合は、次のような呼び方にする。

        レタリング JIS  Z  8313-CB  TSL-2.5

     CA形直立体、比例形式スペース配置、ギリシャ文字、文字の大きさの呼び

     3.5 mmの場合

        レタリング JIS  Z  8313-CA  PVG-3.5

 

 

    附属書A(参考) 参考文献

 [1]~[8]のISO規格 省略

 

 

 この規格は、次に続く、製図ー文字ー第1部:ローマ字、数字および記号 をはじ

めとする製図の中の文字に関するものである。第1部以降のものより後に制定されたも

のであるが、これらを補足するものではないようである。第1部の前に組み入れる必要

があったためか、第0部と苦心したようである。

 

 文字の大きさについては、手書きの場合も適用されるが、手書きで文字の寸法を意識

することはないので、手書き用のテンプレートを考えてのことか。製図者が特に文字の

寸法まで気を使う必要はない。文字の大きさについては、できるだけ大きい文字を使う

ように心がけるべきである。

 

 規格のなかほどにある、5.6 字句に付けるアンダライン又はオーバラインの中の、

シディラとは、フランス語に見られる、Ç の文字の下側の部分のこと、ティルダは、

~のことで、スペイン語ポルトガル語で使われる。 文字記号として使われているも

のは、チルダと呼ぶのが一般的。

 ウムラウトは、ドイツ語で使われ、図8にもある Öなどの文字の上側の二つの点の

こと。

 これらの文字は、機械製図ではまず使われることはない。ましてやこれにアンダーラ

インやオーバーラインを、付けることなど全くと言ってよいほどない。

 

 アンダーラインやオーバーラインについてはいろいろなつけ方があるようであるが、

頭の片隅にでも入れておくほどのことでもない。ちなみに、このブログで、図7の 

Outputにアンダーラインを入れると Output となる。