JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

投影法

   投影法とは物体に光りを当てて影を映し出す手法のことである。

製図の分野では三次元の物体を二次元の平面上に表現する技術で、その他の分野では数学や物理学はもちろんのこと、心理学でもその言葉は使用されている。

 

 空間を四つに区分けしたものを第一象限~第四象限とし、第一象限での投影を、第一角法、第三象限での投影を第三角法という。  

 

 

 JISでは、第三角法、及び第一角法について、正面図に対する平面図、下面図、左側面図、右側面図、背面図の配置を決めている。下に第三角法の投影図を示しておく。

 

対象物

 

第三角法投影図

 

 第一角法、第三角法は説明されているが、第二角法、第四角法というのは無いのであろうか。

第二、第四角法では投影面を回転させたときに図が重なり合ってしまうので使用されないと述べているものがあるが正確な表現ではない。重なり合うときは回転軸からの距離を変えればよいのだから。

 第二、第四角法が使用されないのは、第一角法は投影面の前側に対象物が置かれ、第三角法では投影面の後ろ側に対象物が置かれるのに対し、第二、第四角法ではこれが同じ角法で前側と後側に置かれるため、はなはだ紛らわしくなるためである。

 このことはJISでは説明されていない。少しでも説明されていれば第一角法、第三角法を理解するのに役立つのではないだろうか。

第一角法と第三角法

 

 

   第一角法について一言

 第一角法は建築や船舶の分野でよく使用される。

                

  これは、例えば建築物で学校の教室を考えた場合、正面を教室の黒板側とすると、右側面は廊下側の壁、左側は校庭側の窓になる。                     

 つまり見たままそのままが正面図、右側面図、左側面図に現わされるわけである。        

  現わす図面の対象が、建築物のように内側から見たほうが理解しやすいことが多い場合、第一角法のほうが便利である。

                    

 常日頃、加工物を手に取って、ああでもないこうでもないと頭をひねっているものにとっては、まさにコペルニクス的転回である。