JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

加工方法記号

    加工方法記号( JIS  B 0122)の抜粋

  JISの加工方法記号は、主として金属に対して一般に使用する二次加工以降の加工

方法を図面、工程表などに記号を用いて表示するときに用いるために規定してある。ま

た、分類は、(1)鋳造、(2)塑性加工(鍛造、プレス加工、スピニング、転造、圧

延、押し出し及び引抜き)、(3)機械加工(切削、研削及び特殊加工)、(4)手仕

上げ、(5)溶接、(6)熱処理、(7)表面処理、(8)組付け、(9)その他 と

九つに分け、さらに各分類には、それに属する詳細な加工方法に対する記号までも規定

してある。

 記号は、ラテン文字のアルファベット大文字を1字又は数文字を組み合わせて、英語

の頭文字を基本に構成してある。

 記号の種類は、補助的な記号(曲げ加工の形状を示す記号、転造に使用するダイス記

号)や参考として示してある加工方法に使用する工作機械の種類を表す記号も含める

と、実に382 種類に及ぶ。

 

 JISのハンドブックでは、”一般の図面に示されることが多いと思われる加工方法

の記号だけについて抜粋してあるので、さらに詳細な加工方法を記号で表示する必要が

ある場合には JIS B 0122 の規格本体を参照されたい゛となっている。

 

 ここでは研削の加工方法の記号を追加記載しておく。

 

   加 工 方 法 記 号(抜粋) B 0122

              Symbols  of  Metal  Working  Processes

(1) 鋳造 C Casting 

      加工方法   記号           参考

  砂型鋳造

    金型鋳造

    精密鋳造

  ダイカスト 

 CS

 CM

 CP

   CD

  Sand Mold Casting

  Metal Mold Casting

  Precision Casting

  Die Casting

 

 (2) 塑性加工 P(¹) Plastic Working

    注(¹) この記号は、単独に用いる場合のほかは原則として省略する。

 (a)  鍛造 F Forging

      加工方法   記号           参考

    自由鍛造

  形鍛造  

 FF

 FD

  Free Forging

  Dies Forging

 

 

  (b) プレス加工 P Press Working (of Sheet Metal)

      加工方法   記号           参しぼりしぼり

    せん断(切断)

    プレス抜き

    曲げ

  プレス絞り(絞り)

  フォーミング

  スタンピング(圧縮成形)

 PS

 PP

 PB

 PD

 PF

 PC

  Shcaring

  Punching

  Bending

  Drawing

  Forining  

  Stamping(Forming by Compression)

 

 

 (c) スピニング S Spinning

 (d) 転造 RL Rolling

 (e) 圧延 R Rolling

 (f) 押出し E Extruding

 (g) 引抜き D Drawing on Drawbench

  

(3) 機械加工 M(¹) Machining

 (a) 切削 C(¹) Cutting

      加工方法   記号           参考

  旋削

  穴あけ(きりもみ)

  中ぐり

  フライス削り

  平削り

  形削り

  立て削り

  ブローチ削り

  のこ引き

  歯切り

 L

 D  

 B

 Ⅿ

 P

 SH

 SL

 BR

 SW

 TC

  Turning(Lathe Turning)

   Driling

   Boring

   Milling

   Planing

   Shaping

   Slotting

   Broaching

   SAwing

   Gear Cutting(Toothed Wheel Cutting)

 

  (b)   研削 G Grinding

 

      加工方法   記号           参考

    円筒研削

  内面研削

  平面研削

  心無し研削

  倣い研削

  ベルト研削

  ねじ研削

  歯車研削

  センタ穴研削

  研削切断

  ラッピング

  ホーニング

  超仕上げ

   GE

 GI

 GS

 GCL

 GCO

   GBL

 GTH

 GT

 GCN

 GCT

 GL

 GH

 GSP

 Externai Cylindrical Grinding

 Internal Grinding   

 Surface Grinding 

 Centreless Grinding 

 Copy Grinding

 Belt Grinding

 Thread Grinding

 Geay Grinding(ToothedWheelGrinding)

 Centye  Grinding

 Cut Off  Grinding

 Lapping

 Honing

 Super Finishing

 

  (c) 特殊加工 SP Special Processing

      加工方法   記号           参考

  放電加工

  電解研削

 SPED

 SPEG

  Electric Discharge Machining

  Electrolytic Grinding

 

(4) 手仕上げ F Finishing (Hand)

      加工方法   記号           参考

  はつり

  研摩布紙仕上げ

  やすり仕上げ

  ラップ仕上げ

  つや出し

  リーマ仕上げ

  きさげ仕上げ

  ブラッシ仕上げ

 FCH

 FCA

 FF

 FL

 FP

 FR

 FS

 FB

  Chipping

  Coated Abrasive Finishing

  Filing

  Lapping

  Polishing

  Reaming

  Scraping

  Brushing

 

(5) 溶接 W Welding

 

(6) 熱処理 H Heat Treatmet

      加工方法   記号         

  焼ならし

  焼なまし

  焼入れ

  焼もどし

  浸炭

  窒化

 HNR

 HA

 HQ

 HT

 HC

 HNT

  Normalizing

  Annealing

  Quenching

  Temoering

  Carburizing

  Nitriding  

 

(7) 表面処理 S Surface Treatment

      加工方法   記号           参考

  洗浄

  研摩

  塗装

  めっき

 SC

 SP

 SPA

 SPL

  Cleaning

  Polishing

  Painting

  Plating 

 

(8) 組付け A Assembly

 

(9) その他 Z

      加工方法   記号           参考

    ひずみ取り

  枯らし

 ZS

 ZA

  Straightening

  Ageing

 

 

 

 加工方法記号は、上記の通りだが図面に表示するにはどのようにするかは規定がな

い。

 加工方法を図示する場合の一つの例として、下に参考図を示す。これは JIS B 

0031 製品の幾何特性仕様-表面性状の図示方法、にある図の、加工方法表示部を加工

方法記号に変えたものである。

f:id:moriumm:20210225092421p:plain

 加工方法記号は、規格文中にあるように記号を用いて表示するときに用いるものであ

り、図面に必ず記入しなくてはならないというものではない。

 記号を記入する場合、加工者が記号をすべて理解しているわけではなく、記号Mのよ

うに、MachiningのMなのか、MillingのMなのか、紛らわしいこともある。

 加工公差や、表面粗さ、幾何公差などにより、加工方法が限定されることはないので

加工方法を記入することは必ずしも必要ではない。

 どうしても必要がある場合は、加工方法名を記入しておいたほうが良い。