このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを掲載しています。
この頁では、JIS規格の機械製図を説明し、JIS規格とは違う観点からの解説や
コメントを述べています。
鋼構造物などの寸法表示
鋼構造物などの寸法表示は、次による。
a) 鋼構造物などの鋼構線図で格点間の寸法を表す必要がある場合には、その寸法は
部材を示す線に沿って直接記入する。
b) 鋼構線図には、部材を示す線は重心線であることを明記するのが良い。
なお、格点とは、鋼構線図において、部材の重心の交点をいう。
c) 形鋼、鋼管、角鋼などの寸法は、下表の表示方法によって、それぞれの図形に沿
って記入することができる。
なお、不等辺山形鋼などを指示する場合には、その辺がどのように置かれてい
るかをはっきりさせるために、図に表れている辺の寸法を記入する。
表ー形鋼の表示方法(抜粋)
形鋼のJIS規格は、G 3192 熱間圧延形鋼の形状、寸法、質量及びその許容差、で
あるが、この規格よりも形鋼製造メーカーのカタログを参照したほうが良い。JIS規格で
規定されていても、実際には製造されていないものもある。またメーカーのカタログに
は、重心線の位置も記載されている。
薄肉部の表し方
薄肉部の表し方は次による。
a) 薄肉部の断面を極太線で示した図形に寸法線を記入する場合には、断面を表した
極太線に沿って、板の内側寸法又は板の外側寸法になるように短い細い実線を描
き、これに寸法線の端末記号を当てる。
b) 内側を示す寸法には、寸法数値の前に “int” を付記してもよい。
c) 製缶品の形体が徐々に増加または減少させて(”徐変する寸法”という。)、ある
寸法になるように指示する要求がある場合には、対象とする形体から引き出し線
を引き出し、参照線の上側に ”徐変する寸法”と指示する。
薄肉部を現尺で書く場合の目安は前にも述べたように1mmである。これより薄い場合
は拡大図か、極太線で描くことになる。極太線の太さは、太線が0.25㎜の場合0.5㎜であ
る。
int は Internaiの略。内部寸法と分かりにくい場合以外は特に入れる必
要はない。何の記号かと混乱してしまうのでむしろ入れないほうが良い。
加工・処理範囲の表示
加工、表面処理などの範囲を限定する場合には、前出、図形の表し方の、”加工・処
理範囲の限定” によるとともに太い一点鎖線を用いて位置及び範囲の寸法を記入し、
加工、表面処理などの要求事項を指定する。
加工・処理範囲などの規定は、”加工・処理範囲の限定” と同じであるので、ここで
改めて述べることではないように思える。
非剛性部品の寸法
非剛性部品の寸法は、 JIS B 0026 によって指示する。
注記 非剛性部品とは、自由状態で図面に指示した寸法公差・幾何公差を超えて
変形する部品である。
JIS B 0026 は、製図ー寸法及び交差の表示方式ー非剛性部品、である。
非剛性部品、自由状態、が定義されており、図面上の指示として、公差記入枠内に記号
Ⓕを付記することなどが定められている。
非比例寸法
一部の図形がその寸法値に比例しない場合には、寸法数値に太い実線の下線を引く。
ただし、一部を切断省略したときなど、特に寸法と図形とが比例しないことを表示する
必要がない場合には、この線を省略する。
寸法値が比例しない場合はどの程度までか。図形にもよるが、80%位までなら下
線を引かないでもよいのでは。見て違和感がなければ下線を引く必要はないと思う。
これが何か所もある場合は、表題欄の尺度の欄を ”現尺でない” などと記入したほ
うが良い。下線のついた寸法が多いのはみっともないものである。
同一形状の寸法
T形管継手、コックなどのフランジのように、1個の品物に全く同一寸法の部分が二
つ以上ある場合には、寸法はそのうちの一つにだけ記入するのがよい。この場合、寸法
を記入しない部分に、同一寸法であることの注意書きをする。
同一寸法部分の一か所に、寸法がすべて記入できることはあまりないであろう。分散
して書くことになるが、この場合にも、同一寸法の部分であることの表示は必要。
無理に一か所に詰め込むより、無駄なようだが部分図を二つ描いたほうが、スッキリ
して見やすい場合もある。