このブログは、JIS規格の製図、なかでも機械製図に関するものを説明していま
す。
まず、JIS規格本文を掲載し、それについて解説やコメントがある場合、※を付け
てJIS規格とは違う観点からの考えを述べています。
機械製図
JIS B 0001
10.4 特殊な図示方法
10.4.1 二つの面の交わり部
二つの面が交わる部分(相貫部分)を表す線は、次による。
a) 交わり部に丸みがある場合に、対応する図にこの丸み部分を表す必要がある場合
には、図74 のように交わり部に丸みがない場合の交線の位置に太い実線で表
す。
※ 説明はされていないが、a)とb) の違いは、b)の方に外周部に丸みがあること
である。そのため正面図中央分の2本の実線は外周部につながっていない。
外周部が面取りの場合はどうなるか、面取り部の実線は省略したということで、a)
のように描いておいてよい。
b) 曲面相互または曲面と平面とが交わる部分の線(相貫線)は、直線で表すか[
図75 のa)b)c)d)e)及びf)参照]、正しい投影に近似させた円弧で
表す[図75 のg)h)及びi)参照]。
※ 製図は図学ではない。ここに規定されているように相貫線は、正確に描く必要はな
く、直線か円弧でよい。円筒と円筒が交わる場合、直径の差があるときは問題なく直線
でよいが、直径の差がない場合面倒になる。直径が同じなら直線となるが、それに近い
場合、できるだけ現物に近づけたいという意識が働くのかいろいろと苦労するようであ
る(下図参照)。
c) リブなどを表す線の端末は、直線のまま止める。
なお、関連する丸みの半径が著しく異なる場合には、端末を内側又は外側に曲
げて止めてもよい。
※ これも同様である。直線のまま止めておいてよいのだから、全てa)で描いてよい
のだが、実物に近づけたくなるようで b)c)の描き方をする。もちろん正しい描き
方であるが、無駄な労力を使うことになってしまう。
10.4.2 平面部分
図形内の特定の部分が平面であることを示す必要がある場合には、細い実線で対角線
を記入する(図77 参照)。
※ かくれ線で表されている部分も、記入する対角線は細い実線である。これを細い破
線で記入してしまうとみずらいものになってしまう。
10.4.3 展開図示
板を曲げて作る対象物又は面で構成される対象物の 展開した形状を示す必要がある場
合には、展開図で示す。この場合、展開図の上側又は下側のいずれかに統一して、”展
開図”と記入するのがよい(図78 参照)。
※ ”展開図”と記入するのは上側又は下側だが、このような文字の記入は、寸法の記入
の状況により位置を気にする必要はない。記入する必要もないのだが、この場合は入れ
ておいたほうが親切か。
10.4.4 加工・処理範囲の限定
対象物の面の一部に特殊な加工を施す場合には、その範囲を、外形線に平行にわずか
に離して引いた太い一点鎖線によって示すことができる[図79a)及び図188参照]。
また、図形中の特定の範囲又は領域を指示する必要がある場合には、その範囲を太い一
点鎖線で囲む[図79b)参照]。
なお、これらの場合、特殊な加工に関する必要事項を指示する。
※ 特殊な加工に関する必要事項とは、例えば焼き入れならば、焼入れ硬さであろう
か。”焼入れ硬さ、 HRC55~60” などと指示する。
10.4.5 加工部の表示
加工部の表示は、次による。
a) 溶接部品の溶接部分を参考に示がある場合には、次の例による。
1) 溶接部分の重なりの部分を参考に示す必要がある場合には、図80の例による。
2) 溶接構成部材の重なりの関係並びに溶接の種類及び大きさを表す場合には、図
81 a)の溶接記号を用いた指示に対して、組立図のように溶接寸法を必要とし
ない場合には、図81b)の例のように溶接部位を塗りつぶして指示することがで
きる。
b) 薄板の強度を増加させる溶接構造の指示例を図82 に示す。
※ 加工部の表示として a)b)の2項目は溶接に関することがあるのだが、特殊な
図示方法としての意味がわからない。図例もあるがそのまま掲載する。
c) ローレット加工した部分、しま鋼板などの特徴を外形の一部分にその模様を描い
て表示してもよい。 この場合には、次の例によるのがよい(図83,図84及び図
85 参照)。
※ ローレット加工は図示しただけでは加工できない。ローレット目の種類とモジュー
ルを図に指示するのが普通である。この際は引き出し線を使用する。模様は表示しなく
てもよい。
非金属材料を特に示す必要がある場合には、図86 の表示方法によるか、又は当該規
格の表示方法による。この場合でも、部品図には材質を別に文字で記入する。外観を示
す場合にも、切り口を示す場合にも、これによるのがよい。
d) 図に表す対象物の 加工前又は加工後の形を図示する必要がある場合には、次によ
る。
1) 加工物の形又は粗材寸法を表すばあいには、細い二点鎖線で図示する[図6の
図例9a)参照]。
2) 加工後の形、例えば、組み立て後の形を表す場合には、細い二点鎖線で図示す
る[図6の図例9b)参照]。
e) 加工に用いる工具・ジグなどの形、工具サイズなどを参考として図示する必要がある場合には、細いい二点鎖線で図示する(図6の図例8参照)。
※ これらは線の種類及び用途で示したように、想像線である。
当然図示する場合は二点鎖線である。
10.4.6 その他の特殊な図示方法
その他の特殊な図示方法は、次による。
a) 切断面の手前側にある部分を図示する必要がある場合には、それを細い二点鎖線
で図示する。
b) 隣接部分の図示対象部分に隣接する部分を参考として図示する必要がある場合に
は、細い二点鎖線で図示する(図6の図例11 参照)。
対象部分の図形は、隣接部分に隠されてもかくれ線としてはならない(図6の
図例7参照)。断面図における隣接部分には、ハッチングを施さない。
※ これらの特殊な図示方法は、あくまで必要がある場合のことなので、必要性が低い
場合は描くことはない。工具サイズなどは ”カッタ径Φ100” などと表示して図は描か
ない。描いておいたほうよいかと思っても、かえって紛らわしくなることが多い。
そのためかくれ線やハッチングは使用しないことになっている。余計のことは付け加
えないほうが良い。