JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

材料記号(プラスチック)

   材料記号(プラスチック)

 機械製図において、プラスチックの材料を使用することは多くはないが、近年は増

加の傾向にあり、日常生活でもプラスチック記号を目にすることが多いので、ここでは

プラスチックの記号と略語を紹介しておく。

 JIS規格 K 6899-1 を掲載するが、抜粋であり、プラスチックの略語は代表

的なものだけとする。

 

 

      プラスチックー記号及び略語ー

       第1部:基本ポリマー及びその特性

          JIS K 6899-1

序文 省略

 

1 適用範囲

 この規格は、プラスチックに用いられる基本ポリマーの略語、その構成要素の記号及

びプラスチックの特性の記号について規定する。この規格では、用法が確立されている

略語だけを取り上げているが、その目的は、一つのプラスチックに複数の略語が用いら

れることを防ぐとともに、一つの略語に複数の解釈を与えることを防ぐことにある。

  注記1 省略

  注記2 省略

2 引用規格 省略

3 用語及び定義

 この規格用いる主な用語及び定義は、ISO 472 によるほか、次による。

3.1 略語 (abbreviated term)

 ある用語の任意の部分を省略して作成し、かつ、同じ概念を表す用語。

4 記号及び略語の用い方

4.1 ホモポリマー、コポリマー及び天然高分子に関する略語を箇条5に、特性を示す

記号を箇条6に、再生プラスチックの記号を箇条7に示す。またその記号の使用例を箇

条8に示す。

4.2 特定の種類のプラスチック材料の中で、重要な分子特性を区別するために、追加

的記号及びその適用指針を規定する。客観的に確認できない特性を表す記号は、混乱を

招くことがあるので使用を避けるほうがよい。

4.3 略語は、刊行物、その他の文書における科学名の便利な便利な簡略記法とするこ

とが主目的である。また、略語は、例えば、"ABS成形材料"、"PAフィルム"、"PE

シート"、"PVCパイプ"などのように、材料および製品における基本ポリマーの種類

を示すためにも有用である。

4.4 記号及び略号は、大文字だけを用いる。

4.5 文書で略語が初めて出てくるとき、用語を略さずに記載し、その後に括弧でくく

って略語を記載する。

4.6 ポリマーの出発原料に基づく英語の名称に関する国際純正・応用化学連合

IUPAC)の規則では、"poly"の後に続く2語以上が続く場合には、括弧を用いるこ

とを勧告している。この規格は、この規則に従うが、一般的な用法では、括弧を省略す

ることが多い。

4.7 ポリマーの簡略記法を形式的に体系化することは意図していない。

 なお、ポリマー分野での学術文献における用語法及び構造表記は、IUPACの高分子命

名法委員会によって体系的に作成されているが、この委員会が発表した略語1)は、お

おむねこの規格のものと同じである。

 注1) 省略

5 ホモポリマー、コポリマー及び天然高分子に関する略語

 附属書Bに示した構成要素の記号を使ったプラスチック材料の略語を次に示す。

 なお、幾つかの汎用材料については、箇条6で定義した特性を示す記号を補足として

示す。また、別の略語が使われている材料については、それらを材料名の後に記載す

る。

 

6 特性を示す記号

 ポリマーの複数の変性物を区別するため、次に示すとおり、必要に応じて、次に示す

記号を最大4個まで用いて基本ポリマーの略語を補足してもよい。補足記号は、基本ポ

リマーの略語の後に置き、ハイフンで区切る。ハイフンの前後には、スペースを入れな

い。基本ポリマーの略語の前に特性を示す記号を置いてはならない。

 

7 再生プラスチックの記号

 再生を表す記号"(REC)"(大文字の"REC"を括弧でくくる)の表示は任意である。

この記号"(REC)"は元のポリマーの略号及び記号の後につける。

 再生品含有率が分かっており、かつ、再生品の含有率を開示する場合、大文字のREC

の後に再生品の最低含有量の質量百分率をつけ、全体を括弧でくくる。例えば、"

(REC50)"とする。

  注記 含有率の算出方法は、JIS Q 14020:2000を参照。

 

8 記号の使用例

 記号の使用例を、次に示す。

  例1 可塑化ポリ塩化ビニル PVC-P

               基本ポリマー PVC

       可塑化  P

  例2 耐衝撃性ポリスチレン PS-HI

       基本ポリマー PS

       耐衝撃性  HI

  例3 直鎖状低密度ポリエチレン PE-LLD

       基本ポリマー PE

       直鎖状低密度 LLD

  例4 再生ポリエチレンテレフタレート材料 PET (REC)

  例5 再生高密度ポリエチレン材料 PE-HD (REC)

 

  注記 再生プラスチックには、記号のポリマーとは異なる成分を含んでいることが

     ある。

 

     附属書A (参考)

    基本ポリマー及びポリマー混合物に関する

     あたらいい略語並びに関連用語の作成指針

     ー省略ー

     附属書B (参考)

    略語の構成要素に用いる記号のリスト   

     ー省略ー

     附属書C (参考)

    略語の付け方のタイプによる分類

     ー省略ー

     附属書JA (参考)

    JISと対応国際規格との対比表

     ー省略ー

 

 第2部 K 6899-2 充塡材及び強化材、 第3部 K 6899-3 可塑剤、 第4部 K 6899-4

難燃材、これらは、機械製図にはほとんど必要としないので割愛します。

 

 ポリマーとは、重合体又は高分子化合物といわれるもので、モノマーという同種の小

さい分子が多数結合したもの。プラスチックは、ポリマーに添加剤を加えて使いやすく

したものである。

 これらの説明は、解説する人によって若干ニュアンスが違うので、詳しくは、日本プ

ラスチック工業連盟などの解説を参照してください。

 

 プラスチックと同じようなものにレジンがある。レジン(Resin)は、樹脂のことでそ

れに対してプラスチックは、合成樹脂といわれることもある。

 上記5の表でも、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂の英語名はレジンとなって

る。

 

 また、PA ポリアミドは、商品名としてのナイロンのほうが、一般に広く知れ渡って

いるように、その専門分野での名称や、記号のほうがわかりやすい場合がある。

 図面に材質を記入する場合は、JIS規格の材料記号を記入する必要はないわけである

から、規格にとらわれることはない。

 また、その名称や記号のつけ方は、色々とあるようで、複雑なもののようである。

 材料記号や、材料名を図示する場合、あるいは図面を読む場合は、このことを充分理

解しておく必要がある。

 

 なお、ペットボトルのペットは、ポリエチレンテレフタラート(PET)であり、これ

によってつくられた容器であるから、ペットボトルである。

 また再生プラスチックで使われる記号 REC は、いうまでもなく、リサイクル(

recycle)のことであろう。