JISによらない機械製図

JISの機械製図に規定されていない描き方の説明と、偏見的な解説をしています。

材料記号(非鉄)

 

   材料記号(非鉄)

 前回の鉄鋼記号に続いて今回は、非鉄金属記号についてです。

鉄鋼記号と同じく非鉄金属の材料記号そのものの規格は、JIS規格にはない。

 ここでは、一般的に知られている非鉄金属の表し方について説明します。

 

 非鉄金属記号の表し方

 1. 伸銅

   1位 2位 3位 4位 5位

     C   ×         ×   ×   × 

 第1位 銅及び銅合金を表すC。

 第2位 主要添加元素による合金の系統を表す。

 1:Cu・高Cu系合金

 2:Cu-Zn系合金

 3:Cu-Zn-Pb系合金

 4:Cu-Zn-Sn系合金

 5:Cu-Sn系合金・Cu-Sn-Pb系合金

 6:Cu-AL系合金・Cu-Si系合金・特殊Cu-Zn系合金

 7:Cu-Ni系合金・Cu-Ni-Zn系合金

 第2位・3位・4位 CDA(Coopper Development Association 銅開発協会)の合金

 記号。

 第5位 0はCDAと等しい基本合金を表し、1から9までは、その改良合金に用い

 る。

  4けたの数字に続いて1~3個のローマ字が付されているが、これは材料の形状を

 示す記号である。

 また、質別を表す際は、上記の金属記号の後に-をいれ、質別記号(熱処理記号など

も含む)をつけている。

 ※ミルハードン材:製造者側で適当な冷間加工と時効効果処理し規定された機械的

 質を付与した材料。

 

 2. アルミニウムの展伸材

アルミ展伸材の材料記号は、Aと4けたの数字で表す。

   1位 2位 3位 4位 5位

     A   ×         ×   ×   × 

 第1位 アルミニウム及びアルミニウム合金を表すAで、我が国独自の接頭語。

 第2位~第5位の4けたの数字はISOにも用いられている国際登録合金番号であ

 る。

 第2位 純アルミニウムについては数字1、アルミニウム合金については主要添加元

 素により2から8までの次の区分けにより用いる。

 1:アルミニウム純度99.00%以上の純アルミニウム

 2:Al-Cu-Mg系合金

 3:Al-Mn系合金

 4:Al-Si 系合金

 5:Al-Mg系合金

 6:Al-Mg-Si 系合金

 7:Al-Zn-Mg系合金

 8:上記以外の系統の合金

 第3位 数字0~9を用い、次に続く第4位及び第5位の数字が同じ場合は、0は基

 本合金を表し、1~9まではその改良型合金に用いる(例えば、2024の改良型合

 金を2124、2224、2324と表す。)。日本独自の合金あるいは国際登録合

 金以外の規格による合金についてはNとする。

 例:A1080、A7N01

 第4位及び第5位 純アルミニウムはアルミニウムの純度小数点以下2けた、合金に

 ついては旧アルコアの呼び方を原則としてつけ、日本独自の合金については合金系

 統、制定順に01から99までの番号をつける。

 例:A 2 0 1 4

 A:アルミニウム又はアルミニウム合金を表す記号

 2:合金系統(Al-Cu-Mg系合金)

 0:制定順位(合金の変形)

 14:旧アルコア記号(14S)

 

   A 2 N 0 1

 A:アルミニウム又はアルミニウム合金を表す記号

 2:合金系統(Al-Cu-Mg系合金)

 N:日本独自の合金

 01:制定の順位

 なおこの合金記号の頭に"K"を付した合金は、1999年のJIS改正の際に国際

規格に規定している合金を採択したものである(例:KA6082、"K"は国際規格

の音読みのアルファベットの頭文字)。また、AlZn6MgCuMn などの記号で表し

た合金も、国際規格に規定の合金を採択したものである。

 前者は、アルミニウムの展伸材の国際合金登録システムに登録されている合金であ

り、後者は、未登録の合金である。

 4けたの数字に続いて1~3個のローマ字が付されるが、これは材料の形状を示す形

状記号である。


 3. 銅及び銅合金鋳物並びに銅合金連続鋳造鋳物

 銅及び銅合金鋳物の記号は、CACと3けたの数字で表し、銅合金連続鋳造鋳物は、

その末尾にCをつける。

 

      1位 2位 3位

  CAC  ×  0  ×    銅及び銅合金鋳物

  CAC  ×  0  ×  C 銅合金連続鋳造鋳物

 CACはCopper Alloy Castings の略である。

 

 第1位 合金種類を表す

 1:同鋳物

 2:黄銅鋳物 

 3:高力黄銅鋳物

 4:青銅鋳物

 5:りん青銅鋳物

 6:鉛青銅鋳物

 7:アルミニウム青銅鋳物

 8:シルジン青銅鋳物

 

 第2位 予備(すべて0である)

 

 第3位 合金種類の中の分類を表す(旧記号の種類を表す数字と同じ)。

 

  末尾のCは、Continuous castings  の頭文字で、連続鋳造鋳物であることを示す。 

 例:CAC406 青銅鋳物6種(旧記号 BC6)

   CAC406C 青銅連続鋳造鋳物6種(旧記号 BC6C)

 

 

 4. その他

 伸銅品、アルミニウム伸銅品を除くその他の金属合金はJISでは、原則として次の

3つの部分より構成された金属記号を使用している。すなわち

(1)最初の部分は材質

(2)次の部分は最後の部分は種類を表している部分は種類を表している。

(3)最後の部分は種類を表している。

 

 例:MP1-H14 マグネシウム合金板

 

   (1)~(3)について解説すると、(1)の記号文字は、英語またはローマ字

  の頭文字あるいは化学元素記号を用いて材質を表している。例えば

 以下に、代表的な非鉄金属の記号を掲載する。

 非鉄金属を図示する場合は記号に限定されることはなく、名称を表示してもよい。企

業や工場によっては、独自の記号を設定して使用しているところもある。これらのこと

は、鉄鋼と同じである。

 非鉄金属のうち、銅合金の代表は青銅(ブロンズ)と黄銅(ブラス)か。一般に銅像

と云われているものの多くは青銅製である。同じ青銅製でもブロンズ像となると美術品

のイメージが強い。

 オリンピックの銅メダルも青銅製で、英語ではブロンズメダルとなる。銅メダルを直

訳すればカッパーメダルとなる。

 

 ブラスといえば、吹奏楽ブラスバンドである。吹奏楽の管楽器は、金管楽器木管

楽器に分けられる。この分け方は、楽器の材質によるものではない。

 金管楽器は、唇の振動で音を出すもの。木管楽器は、金管楽器以外のものでリードを

使って音を出すものが多い。

 もともとは、真鍮などでつくられたから金管楽器、木製のものが木管楽器なのだか

ら、材質の違いと理解しておいてよさそうなものだが、専門家に言わせると、ほら貝な

どは金管楽器になるそうで、材質の違いで分けるのは間違いであるらしい。